村上先輩、そのはロンです
鈴木優に非情の世界を垣間見る
文・ZERO / 沖中祐也【火曜担当ライター】2023年2月21日
レギュラーシーズンの終盤は、Mリーグが一番盛り上がる時期だと言っても過言ではない。
第1試合
北家:鈴木優
U-NEXTパイレーツ
大物手が飛び交う乱打戦となったこの半荘だが、敢えて南3局に絞ってお届けする。
ラス前を迎え、点棒状況は以下。
村上・滝沢・岡田の三つ巴となっているが、優にもラス親がある。
先制したのは親の岡田だった。
カン待ちのリーチ・・ドラ1の勝負手。
をツモるやいなや、淀みなくリーチに踏み切ったわけだが、この手牌には両面変化や三暗刻変化など、有望な未来がいくつもある。
ドラ表示牌のカン待ちでは、リーチするのは少し心もとない。
「ダマで4800をアガったところで何も状況は変わらない。だけどリーチしてツモればほぼトップが決まる。」
言うは簡単だが、岡田の脳裏には嫌な記憶がこびりついていたはずだ。
2021シーズン最序盤、岡田は形が悪かろうが、打点十分だろうがリーチを打ちまくった結果、そのほとんどがアガれずに返り討ちにあった。以降の半荘は手が入らず、レギュラーシーズン1勝という屈辱を味わっている。
ましてや今夜のサクラナイツにとっては、天王山と言えるほどの重要な一戦である。
チーム全員がマイナススコアとピリッとせず、いつの間にか7位・フェニックスの足音がハッキリと聞こえてくるまでの位置まで沈んできた。
過去の記憶と現在の状況が、岡田の心理を守りに入らせてもおかしくはない。
それでも岡田は踏み込んだ。
大事な試合に抜擢された意味。
それは冷静に得な選択を積み上げ、チームの窮地を救うこと。
3人競り合いだからこそ、親リーチにはおいそれと迎えないはずだ!
だが岡田の考えに反して、このリーチに全ツしてくる男がいた。
3着目、滝沢和典である。
そもそも、滝沢は岡田からリーチが入る前
このポンから仕掛けていた。
チートイツイーシャンテンからトイトイ2シャンテンになるポン。
「あまり好きではないポン」
と滝沢自身が語るように、アガリに近づいているのかどうかは微妙な仕掛けである。
ただ、トイトイにならずとも満貫以上は確約されているのでポンが普通といえるだろう。
問題はここからだ。
岡田のリーチに対し
超絶危険なをツモってきた。
岡田はリーチ前にを切っていることを考えると、形が整っている可能性が高いと考えられる。岡田の淀みないリーチ宣言からもその可能性はさらに高くなる。
ここは一旦現物のを切ってイーシャンテンを維持するのがマジョリティというものだ。
否。
滝沢はさして迷うことなくを押した。
さらに