村上先輩、その【5S】はロンです 鈴木優に非情の世界を垣間見る【Mリーグ2022-23観戦記2/21】担当記者:ZERO / 沖中祐也

次にツモってきた【2ソウ】も安全牌かのようにプッシュ。

次に【4ピン】をツモってテンパイすると、当然のように無筋の【3ピン】を押した。
【7ソウ】【2ソウ】の段階でヒヨって【2ピン】を切っていたらたどり着けなかったテンパイだ。

何が滝沢を駆り立てるのか、その表情からは読み取れない。

この無筋3連発が優や寿人だったら何も感じなかったかもしれない。
あの滝沢がお行儀のいい麻雀をかなぐり捨てて、がむしゃらにトップを取りにきている。

イケメン仲間として推測すると、もしかしたら滝沢なりに責任を感じているのかもしれない。好調なチームの中で唯一のマイナス、もっと積極的に前に出ないとトップという果実は掴み取れない、と。

岡田も滝沢の押しを見て、覚悟を決める。
一人旅だったはずなのに、まさかあの滝沢さんがここまで押してくるとは。

このとき、岡田のカン【4ソウ】待ちも、滝沢のシャンポン待ちも、山に2枚ずついた。

カチャ… タン…。
ツモって切る音だけが、卓上に響き渡る。

運命のめくり合いは終盤に決着がついた。

 

「6000オール」
そう申告する岡田の手は震えていた。
このあまりにも大きいめくり合いを制し、気持ちが昂ぶったのだろう。

結果が出ない中、大事な場面で使ってくれた監督。
踏み込めたリーチ。
チームメイトとの絆。

サクラナイツを覆う嫌な雰囲気をこの6000オールで一気に消し飛ばした。

…とまぁ、このように岡田を主役にして観戦記を書くつもりだったが、次の一局が印象的だったのだ。

南3局1本場

まずは村上だ。

村上は【8ソウ】をツモって小考した。
【8ソウ】はドラではあるのだが、すでにイーシャンテンになっている上に、4巡目に【9ソウ】を切っていて使いづらい牌である。

村上は【5ソウ】を切った。
「フラットな状況ならもちろんツモ切りですが…」
と村上は語る。だが、チーム状況がそれを許さない。

ドリブンズはあと18試合で最低でも300ptは稼がないとレギュラーシーズン敗退になってしまう。全て連対できたとしても、半分近くのトップが必要なのだ。

強引に残した【8ソウ】は、ドリブンズにとっての一欠片の希望。
その一欠片の希望が

重なり、ドリブンズサポーターも色めきだつ。

岡田との点差は26200点。ここでハネ満をツモればオーラス満貫出和了りでトップになる。

絶望的な状況の中で村上はトップをギリギリまで諦めない。
次の巡目だった。

「リッチ!」

ドリブンズの魂を乗せたリーチ発声が、会場内に響き渡る。
ドラの【8ソウ】をツモれば文句なしのハネ満だ。

同巡

一発を受けた岡田が絶好の【3ピン】【6ピン】【9ピン】待ちでテンパイする。(【9ピン】はカラだが)
出ていく【7ソウ】は村上の【9ソウ】【5ソウ】【3ソウ】という切り巡を見てもそんなに危険な牌ではない。

勢いで追っかけたくなる場面だが、岡田は一呼吸置いた。

ここで放銃さえしなければ、かなり有利な立場でオーラスを迎えられる。
点棒を確認すると、岡田は慎重に現物の【3ソウ】を切った。

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