eMAH-JONGプロ、
明暗を分けた
勝負どころの選択
初代王者に挑む者たちの激闘
eMAH-JONG 麻雀格闘倶楽部 プロトーナメント準決勝 観戦記:東川亮
「eMAH-JONG 麻雀格闘倶楽部 プロトーナメント」もいよいよ準決勝を迎える。ここまで駒を進めたのは、一般から選抜されたeMAH-JONGプロと日本プロ麻雀連盟のプロがそれぞれ4名。準決勝の卓組も、2名ずつきれいに分かれた。勝るのは新時代を切り開こうとするeMAH-JONGプロの勢いか、これまで麻雀プロとして活躍してきた者たちの経験か。戦いはいよいよ、佳境を迎える。
■準決勝第1試合
東家:にちねこ(U-25枠)
南家:TKB(フリー枠)
西家:瀬戸熊直樹(日本プロ麻雀連盟)
北家:二階堂亜樹(日本プロ麻雀連盟)
開局早々、親のにちねこが大物手を決める。を仕掛けて5800のテンパイから、加カンをすると、なんとリンシャンパイがアガリ牌の。嶺上開花ドラドラの4000オールは、強敵3者を相手にする上では非常に大きい。
次局はTKBが3巡目のカン待ちテンパイで即リーチ、ツモって裏ドラを乗せての2000-3900は2100-4000。eMAH-JONGプロの2人が連盟プロを相手にリードを奪う展開となる。
だが、連盟プロ側とて、黙っているわけにはいかない。東3局、親番の瀬戸熊が2巡目にしてをポンして打。もちろん受け入れの広さなら、切りが一番いいのは承知の上。重厚な手組みをする瀬戸熊が2巡目で鳴いたならば、この手の最終形を少なくとも満貫以上と見ているだろう。が2枚ある分、ピンズのホンイツは打点が上がりやすい。
その後ポンしたを加カンすると、新ドラがトイツになっていたで満貫の1シャンテンに。打点的にはこれでもOKだ。
瀬戸熊の最終形はドラ赤の満貫、待ち。ただ、TKBもドラドラ赤のテンパイで追いついていた。瀬戸熊が強いのは承知の上、その瀬戸熊の親を蹴る7700のアガリを決められれば、決勝進出は大きく近づく。その思いが、最終手番でつかんだを止めることを許さなかった。瀬戸熊がTKBから12000をアガり、2番手に浮上する。
その後は小場で試合が進み、迎えた南3局。ここで、4番手に沈んでいたTKBに分岐点が訪れる。2巡目にして1シャンテン、タンヤオやピンフに一気通貫などいろいろな手役が見え、孤立のもくっつき候補として優秀。果たして何を切るか。
TKBの2巡目の選択は打。そしてタンヤオが確定する絶好のを引き、カン待ちの即リーチと打って出た。リーチタンヤオ赤赤、打点的には十分。ただ、解説を務めた日本プロ麻雀連盟・森山茂和会長は、「打でのテンパイ外しでもよかったのでは」と語る。巡目も早く良形への変化も期待できることから、焦って愚形リーチに行くのではなく手を組み替えるルートもあった、ということだろう。
結果は流局。アガリ牌はリーチ時に山に2枚残りだったが、いずれも亜樹のところに流れてしまった。森山会長の指摘した打のテンパイ外しであれば、待ちを一発でツモってのハネ満からで、瀬戸熊を逆転して2番手でオーラスを迎えていた。もちろんそれは結果論で、をツモっていた未来も十分にあり得た。だが、結果としてこの空振りが大きく響いてしまったのは、事実である。
最後はトップ目のにちねこがアガって決着。にちねこ、瀬戸熊が決勝卓進出を決めた。
1位:にちねこ 35900点 2位:瀬戸熊直樹 27000点
3位:二階堂亜樹 22400点 4位:TKB 14700点
3位:二階堂亜樹
「チャンスが少なくて、勝負手がなかなか入りませんでした。一度だけあったのですが、2着残りを考えると、ちょっといけませんでした。次はどうしても決勝に残って優勝したい気持ちが強いので、次の大会は頑張りたいと思います」
4位:TKB
「ちょっとキツかったな、というのが正直なところです。皆さん強かったです。もし第2回、第3回の大会があれば参加したいと思っていますし、もう一回ネット麻雀の方でしっかり鍛えて挑戦したいです」
■準決勝第2試合
東家:伊達朱里紗(日本プロ麻雀連盟)
南家:てな(ワンチャンス枠)
西家:白鳥翔(日本プロ麻雀連盟)
北家:ばんばん(ワンチャンス枠)
東1局1本場。役牌とマンズで3フーロでテンパイしていた伊達に対し、てなが待ち取りを選べるテンパイで追いつく。待ちか、待ちか。
てなはドラ受けのある3メンチャンではなく待ちでリーチ。伊達の最終手出しがチー打ということで、派手に仕掛けたマンズよりもピンズを警戒したということだろう。も、を切っていて1m加カンの伊達にはほぼ通る牌。
実際に、待ち枚数はの方が多かった。冷静に場を見た結果の満貫ツモ。