紡がれゆくもの~「伝説の番人」土田浩翔を超えていく鳳凰 麻雀最強戦2024【伝説を継ぐ者】観戦記【A卓】文:千嶋辰治

だが。
これが「伝説を継ぐ者」の力なのか。

結果的にはどちらの牌を選んでも、山には2枚ずつ残っていた。
しかし、【中】を選べばその2枚は前原の手に流れ、寿人の和了はなかった。

寿人が示した答えに、牌は微笑んだ。
かくして新たな伝説の道は拓かれたのだ。

対して、逆転を許した土田。

土田は、寿人が開いた手を慈しむようにいつまでも眺めていたのが印象的だった。

「オーラス4巡目に寿人が【南】を切った時に、ああ… やられたなと思いました。」

対局後にこう振り返った土田。
負けて悔いなし、という表情に後悔は微塵も感じられない。

そして、寿人。

「19年前に新人研修講師をしていただいた(前原、土田の)お二人に褒められて嬉しい。また、逆転を土田の得意技であるチートイツで成すことが出来たことが嬉しかった。」

連盟の最高峰タイトルである鳳凰位。
その玉座に座る男が、レジェンドたちの前で無邪気に喜ぶ姿はなんとも微笑ましく映る。

圧倒的不利をひっくり返した寿人。
こうして、新たな伝説は作られていくのだろう。
その語り部の一人となれたこと、心から嬉しく思う。

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