自画自賛、周りも絶賛 シャーレをもぎとるために踏み込んだ 仲林圭のチー【Mリーグ2023-24ファイナル観戦記 5/7】担当記者 ZERO / 沖中祐也

そして４人目の太にも

テンパイが入る。
ドラが内臓のチートイツである。

出た！ドリブンズ伝統の右肩降ろし！
そして、あの太が…

オリた。
太は亜樹の手牌を読んだ。

亜樹はプッシュしているのでテンパイは濃厚。
そして以外の字牌が全部見えてしまっている。

とが３枚ずつ見えているのに姿を見せていないは、亜樹が固めて持っていそうだ。
となるとを切ってのタンキは勝算が低く、かといってを切るのも当たりかねないので切れない。

「フラットなら鉄オリ、ビハインドを背負ったファイナルだからこそ難しかった」

と語る太。苦渋の決断である。

そして亜樹に巡ってきたるは

またしても２人に通っていない。
は押したけど、いやを押したからこそ、残った無筋の放銃率はアガっていく。

まず、仲林はの対子落としのリーチでタンピン形の可能性が高く危険、そこへ鼻息荒く追っかけてきた内川も当然危険。
そして内川への放銃はラスにもなりかねない。

おそらく亜樹はMリーグ６年間で、ここまでの危険牌を押したことはなかったはずだ。

このは勇気なのか無謀なのか。

恒例のぷくーを頂いてからの。

無謀と紙一重の勝負！

亜樹は前へ進むことを決断。
今後風林火山が戦うことの意思表示にも見えた。

卓上に見えない火花が飛び散っている。
勝つのはPiratesか。風林火山か。それとも。

人知の及ばないめくり合いが続く。
そこに言葉はなくとも想いが伝わってくる。

なるほど、たしかに麻雀は面白い。

「ツモ」

決着は割って入った内川の3000/6000となった。

いつもの選択をいつもとは違う場所で

雌雄を決したのは次の南３局である。

まずは３巡目に

カンでリーチ！

これはオーラが良かった。
前局、３人のめくり合いを制し3000/6000を決めた男が、３巡目に風速30mの鼻息を飛ばしながらのリーチである。

とてもリーチドラ１のカンとは思えない。

「チー」

そこへ仲林がチーを入れて応戦する。

イーシャンテンからイーシャンテンのチー。
通常、リーチが入っている状況でのシャンテン数の変わらないチーは悪手になりがちである。
だが今回の仲林の手牌は、内川のリーチが早いこともあり安全牌が１枚もない。

どうせしばらく押すことにはなりそうだ。
ならば形を良くしてぶつけていくよりない。

カンとのイーシャンテンより、とのイーシャンテンのほうがいいに決まっている。
また赤とドラを晒す牽制効果もあるだろう。

当初、仲林はこのを鳴くかどうかは決めていなかった。