待ち牌は山にしっかり残っていたが、瀬戸熊の手にも浮いてしまっていた。そして手が進み、赤ドラの1シャンテンに。浅見は→と続けて手出しで受けを払った形。単純なという形なら→となっているだろうことから、はだけ少し切りやすく見える。
トップ目とは言え微差で浅見にアガられれば逆転される、ここでダメ押しできればトップが濃厚。さまざまな状況が、瀬戸熊の打ちという選択になってしまった。
裏が1枚乗って満貫に。これが決定打となって、浅見のトップで試合は終了した。
浅見はなんとこれで、Mリーグ記録に並ぶ個人5連勝。的確な選択でテンパイへとたどり着き、リーチをかけてアガれば効果的に裏ドラが乗る。勝つときはこんなもの、という感じで、2025年もドリブンズの勢いはまだまだ止まらなさそうだ。
また、試合のポイント推移についても振り返ってみたい。おそらく意外に珍しいのではないかと思うが、この試合は全9局とコンパクトに終わったにもかかわらず、全ての選手が1度はトップ目に立っている。そして、9回のアガリのうち実に7回が満貫、それも全選手がアガリも放銃もあったという、スリリングな打ち合いとなった。ジリジリするような読み合い、我慢比べも手に汗を握るが、やはりアガリが飛び交う展開は見ていてシンプルに面白い。
2025年のMリーグも、いろいろな試合でファンに熱狂を提供してくれるはずだ。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。