三つ巴から突き抜ける、園田賢の副露術
―オーラス、あの切りの真相―
文・高倉拓馬【火曜担当ライター】2025年1月7日
第2試合
東家:萩原聖人(TEAM RAIDEN/雷電)
南家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
第2試合は萩原、松本、園田の三つ巴。
三者が30000点台となり、南3局を迎えた。
僅差の2着目、親番の松本。
が河に1枚打たれているため、イーシャンテン外しをする選択を取る。
先制で親リーチを打てる価値が高い局面だが、冷静に慌てず決定打を取って突き抜けようという選択だ。
トップ目の萩原。方針が決まらずもどかしい状態が続いていたが、8巡目のツモで七対子に定まる。
そうこうしているうちに、松本の手がテンパイまでたどり着く。
タンヤオ、ドラ1の両面はド勝負手。リーチをかけていった。
このリーチ宣言牌に長考を入れたのは、現在3着目の園田。
手牌上は全く必要のない牌、いやむしろ門前の権利を放棄するのだから、アガリを狙うだけならマイナスだとも言える。
だとすると、ここで考えているのは「一発消し」。
一発を消すことで、松本の打点を下げるだけでなく、他家を押しやすくさせ、横移動率をアップさせる狙いがある。
寿人の河が国士無双模様で、とが対子である自身の手牌はかなりアガリにくい。そう考えれば、ここでアガリを放棄して一発を消す選択は充分考えられるだろう。
あとは、松本に対する安全牌が足りているかどうかをチェック。
長考の末、園田はチーを入れ、松本の現物打とした。
、、寿人が持っている確率が高い2枚で降り切ることが出来るだろうという判断を下す。
直後、萩原テンパイ。
チートイ赤で、アガリ切ることが出来ればトップ率はかなり上昇する。
だがこれから打とうとする牌が、どちらも松本に対して危険な牌。
そしてももおいそれと出てくるような質の牌でもない。
いい牌の変化を待とうにも、とを両方とも打てるような状況でもない。
萩原は打でオリを選択した。
あの12000点からこの三つ巴になってしまったが、ここも粘って次局以降に託す。
一方、ここまでで音沙汰がなかった寿人の手牌。
当たり牌を掴み続ける展開となってしまったが、この土壇場で国士無双のイーシャンテンが入った。
この打が、松本に対する超危険牌。一気に場が戦慄する。
この松本の打強打からも、寿人の打がいかに恐ろしかったかが伝わってくる。
そして、国士無双においてキーとなる、4枚目のを掴んできたのは園田。
は松本の筋で通りやすそうなのだが、ここからやをポンしてを打つことが出来るのか、精査を入れる。
その次巡のツモで、寿人の国士無双がテンパイでないことが判明した。
も4枚目の牌。テンパイなら、どちらかは持っていないとおかしい。
この粘りが功を奏したのか、園田は最終巡にテンパイを果たした!
あの一発消しから、粘ってこのテンパイまでたどり着ける打ち手が、世界にどれだけいるのだろうか。
南3局1本場
園田にドラ3の手。役牌もあり軽そうな手だ。
園田はオタ風からでも軽快に仕掛けていく。あとはさえ鳴ければ、両面2つが残る形になりアガリ率は充分だ。