時にシビアに、時に感性で
茅森早香、熾烈な着順争いを
乗り切った選択
文・東川亮【月曜担当ライター】2021年2月8日
大和証券Mリーグ・レギュラーシーズンは残り20戦を切り、いよいよクライマックスを迎えようとしている。
一戦ごとに順位が入れ替わり、各チームを応援するファンも結果に一喜一憂。
その中で打つ選手は、重圧の中でも最善の選択をしていかなければならない。
攻めるのか、それとも守るのか。
卓につく選手の選択が、そのままチームの命運へとつながっていく。
2月8日 第2試合
東家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
西家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:朝倉康心(U-NEXT Pirates)
東3局、茅森が面白い選択を見せた。
5巡目にして早くもテンパイ、雀頭がない形なのでいったん単騎に取る。
そして単騎待ちに変えてリーチと打って出た。
周りから見ればカンチャン外しに見える上には茅森のオタ風、直前に1枚切られているということで、これ以上なくいい単騎待ちになっている。
誰が掴んでも出そうな当たり牌を掴んだのは、追っかけリーチの内川。
しかもなんと裏ドラが。
あまりに鮮烈な8000出アガリとなった。
興味深かったのは、この日の解説をしていた渋谷ABEMAS・多井隆晴が最初のテンパイの段階から単騎に言及していたことだ。
一流にしか分からない感覚というのがあるのかもしれない。
東4局、萩原にとんでもない配牌が入る。
なんと、手牌を開けた段階で567三色ができあがっているイーシャンテン。
しかもドラがで赤もあり、どう仕上がっても高い、しかもすぐにテンパイしそうな手だ。
4巡目に待ちリーチ、三色が崩れたのは不満だが、リーチタンヤオ平和赤赤ドラのハネ満スタートならば十分過ぎる。
とはいえ、こういう手がアガれないのも麻雀である。
内川が果敢に仕掛けると、すぐにアガリきって1000-2000。
萩原の大物手を潰す価値あるアガリとなった。
南3局。
茅森は6巡目でテンパイするが、役がなく待ちはドラのカン。
さすがに分が悪いと見てリーチはかけない。
朝倉のリーチを受けてすぐに現物を暗刻落とし、粘らずに手を崩した。
そこへ親の内川もリーチ。
を切ってのカン待ち、いわゆる「モロ引っかけ」という形だが、これはシンプルにアガったときの打点を取りに行ったのだろう。
茅森には宣言牌がトイツ、これを落として安全にまわる。
しかし、さらなる追っ手がいた。
直後、萩原が待ちでテンパイし、ヤミテンに構えたのだ。
打点も平和ドラドラ赤で満貫。
茅森が今通ったをもう一枚放てば、トップを逆転される痛恨の放銃となる。