時にシビアに、時に感性で　茅森早香、熾烈な着順争いを乗り切った選択【Mリーグ2020観戦記２／８】担当記者：東川亮

次巡の茅森、に手を・・・

かけず、直前に通った切り。

その後も通ったと打ち、100パーセント当たらない牌をしっかりと切っていった。

手拍子でトイツ落としをしていれば、手ひどい結果となっていたところだった。

を押した萩原に対し、不穏なものを感じていたのかもしれない。

 

内川はこのリーチ対決を制して親での満貫ツモ、次局も満貫ツモを決め、4着目から一気にトップまで突き抜けた。

サクラナイツにとっては非常に大きい結果だが、他のチームにとってもこの試合を何着で終えるかは後の戦いに大きく影響してくる。

内川はさらに、ホンイツ仕掛けでイニシアチブを握りにかかる。

ドラ色のホンイツで打点をちらつかせて相手の様子を探りつつ、あわよくば高打点で仕上げてしまおうという作戦だ。

これに対し、形の整っていた茅森は1枚切れの、とプッシュ。

しかし内川がまでツモ切り（※朝倉がチー）したところに場風のを引くと、あっさりターツを壊した。

実際にこのは内川にトイツ、切ればおそらく鳴かれただろう。

このあたりの押し引きの感覚は独特のものがあるし、なにより見切りが早い。

流局が続いた南4局4本場、まず動いたのは朝倉。

をポンしてアガリに向かう。

4本場に加えて供託リーチ棒3本、アガリに4200点のボーナスがあるので、この局をアガって連荘すればトップまで見えてくる。

朝倉はを加カンして打点を上げると、内川の切ったをチーしてカン待ちテンパイ。

このとき、茅森の手にはが浮いていた。

受け入れ候補として残していたのだろうが、その分出ていく可能性も高くなっている。

一方、このとき内川も萩原の切ったをチーしてテンパイを入れていた。

こちらはアガリさえすればトップだ。

茅森がを引き、少し手が広くなった。

ただ、目いっぱいにするならが出ていってしまう。

親に放銃する分には試合が続くとはいえ、2着順ダウンの放銃はさすがに痛い。

 

しかし、茅森の選択はツモ切り。

ソーズは朝倉だけでなく、仕掛けを入れた内川も1枚も切っていないということで警戒したか。

 

最後は内川が萩原のリーチ宣言牌を捉えて2000は3200のアガリ。

茅森は急所の牌だけは最後まで止め切り、2着をキープして試合を終えた。

第1回戦では魚谷侑未がロン牌を見逃してツモるという驚きの選択で2着浮上して試合を終えたが、それとはまた違う、シビアな選択が呼び込んだ2着だった。

 

試合後、勝者となった内川が興味深いことを話していた。

南1局、内川が萩原にで放銃した場面。

内川は萩原が切っていたをと誤認していたのだという。

裏3で8000の放銃となってしまった一打で、ともすればこれが敗着になっていてもおかしくはなかった。

もちろん、通常なら起こり得ないミスだろう。

ただ、それが起きてしまうというのもMリーグの終盤戦という独特の雰囲気によるものなのかもしれない。

レギュラーシーズンの残り期間は約1ヵ月。

これからどんなドラマが繰り広げられていくのだろうか。