鈴木たろうが考える、
麻雀の強さとは?
文・江嵜晋之介【火曜担当ライター】2022年2月22日
第2回戦
東家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:瀬戸熊直樹(TEAM雷電)
西家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
北家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
レギュラーシーズン2月22日第2試合。
赤坂ドリブンズ鈴木たろうは2時間35分のロングゲームを制し、念願の大トップを獲得した。
これまでの試合でも攻撃的な選択が多かったたろうだが、この試合ではアガリにアガリを重ね、なんと1試合で8回のアガリを記録。
東2局1本場に3,900を出アガリ。
東3局3本場はトップ目多井に親被りさせる2,000、4,000。
東4局1本場の自身の親番で、この試合の決め手となった18,000を瀬戸熊から出アガリ、などなど…。
一度点数を持ってからも守りに入らず、アガリが狙える局面では積極的に攻めるスタイルで大トップを築き、トップになってからは一度も順位を落とすことなくゲームを終了させた。
今回も様々な選択を見せてくれたたろうだが、攻め一辺倒では無い意外な選択があった。
東4局3本場
親番のたろう。前々局に18,000を出アガって2着目の多井と17,000点以上差をつけたトップ目に立ったところ。
この局も手を真っ直ぐ進めていたたろうは、11巡目に待ちのタンヤオのみのテンパイを入れる。
トップ目とはいえチームとしては少しでも多くのポイントが欲しい状況。ここはさらなる加点を目指しリーチをかけるかに思われたが…。
たろうはヤミテンを選択。これには解説の渋川プロも驚きの声を上げていた。
テンパイ時の河がこちら。
ダマテンを選択した大きな要因として、ドラが見えていないことが考えられる。ドラのは4枚、赤ドラも3枚全て自身から見えていない。更にが4枚、が3枚見えているのにが切られていないことからは対子または暗刻で持たれている可能性も高まっている。
他家にドラが固まっている可能性がある以上、親リーチと言っても足止めにならず押し返される懸念もあるためリスクを最小限に抑えるダマテン。結果としてこの選択が功を奏する。
直後、高宮から待ちの満貫リーチが入る。
リーチの現物にたろうの当たり牌があり、瀬戸熊が打を選択。
打点こそ低いものの、高宮の勝負手を潰す価値のあるアガりとなった。たろうがテンパイした時点では山に残っていなかった。
仮にリーチをかけていたら、直後に高宮から追いかけリーチがかかり、たろうは不利な捲り合いを強いられていただろう。
高宮の待ちは山に3枚残っていたため、もしたろうが放銃となり満貫以上の点数を失っていたら、2着多井との点差も10,000点以内となるため全く別のゲーム展開になっていたはずだ。
試合終了後、たろうは自身のユーチューブチャンネルにて検討配信を行った。
出典:鈴木たろうちゃんねる
この局面について、打牌の意図についてはインタビュー時とほぼ同じ説明をしながら、「麻雀の強さ」について自身の考えを述べていた。
「麻雀が強くなるって、場合分けを細かくしていく作業だと思ってるんですよ。よくテンパったらリーチって覚えるじゃないですか、けど中にはリーチしないほうがいい局面も少なからず含まれてて、『基本はリーチだけどこういう局面はリーチしない』っていう場合分けが増えていくことが強さなんですよね」
(動画:1時間4分45秒〜)
たろうの麻雀は、見ている人が思いもつかないような選択を捻り出してくることがしばしばある。たろうにとってはその選択の幅が自身の考える強さであり、見ている人にとってはその幅こそが惹きつけられる魅力なのだろう。
そんなたろうの打牌について、
今回見事だった選択をもう1つ紹介したい。
東4局4本場
を瀬戸熊から出アガリした直後の4本場。たろうの配牌。
役牌のが対子だが打点が見込めない難しい手。
たろうはこの手から果敢に仕掛け、ソーズの混一色へ向かった。
ソーズの両面をチーして落とし、その後落としとあからさまにソーズの混一色を狙う。