森山茂和と浅井裕介、5年越しの因縁に決着。それぞれが追い求めた麻雀像とは。 【麻雀最強戦2025 師弟と因縁フォーエバー】観戦記【決勝卓】文:虫かご

その後、伊藤と浅井も粘りを見せ、現実的な逆転条件まで迫ったが、最終的には森山が300-500は500-700の和了で終局。森山がファイナルへの切符をもぎ取った。

浅井の後悔、森山にとっての「魅せる麻雀」

対局終了後。試合を終えた選手に直接話を伺おうと楽屋前で待機していると、興奮冷めやらぬ様子の浅井が、解説の園田プロと何やら会話しながらむかってきた。

その中身を聞くと、浅井はとある「後悔」を口にした。それはオーラスの【4ピン】切りでもなく、さらに遡った東2局のことだ。

ドラの【北】も抱え、チートイツドラドラの和了に向けて進行していた浅井。【西】をもってきた場面で【4ソウ】切りとした。

この場面、実は【4ソウ】チートイツの種として優秀だったのだ。自身が【3ソウ】を2枚抱えているだけではなく、対面の森山も1段目に【6ソウ】【5ソウ】を切っている。逆に、全体的に中張牌が目立つ河となっており、【西】などの字牌が場に高い局面だった。

ふわっと切った【4ソウ】だったが、あの瞬間「おれなんかやったかもな」という思いが脳裏をよぎったという。

その後、【北】を重ねて迷わず【7マン】単騎でリーチした浅井。一発目に持ってきたのは、【4ソウ】だった。

「もし【4ソウ】、ドラ(【北】)、【7マン】の3枚で待ちを選べていたら【4ソウ】待ちにしていた」と振り返った浅井。跳満や倍満の可能性もあっただけに、「【4ピン】の放銃よりも圧倒的に後悔している」一打となってしまった。

一方、壮絶な戦いを終えた森山が語ったのは、麻雀プロとしての理想像だった。

麻雀が持つ「流れ」に余計な手を加えず、かといって逃げずに向かい合ったと試合を振り返った森山。ふと、「麻雀は難しいんだよ」と口にした。「単なる絵合わせではつまらないと思うんだよね。観ている人が納得できる麻雀をどう打つかが大切。若い人の活躍が目立つけど、経験があるからこそいいものを魅せられるんですよ。この年齢だけど、麻雀の深さを知らしめていきたいね」と目を細めた。

卓組が発表されたときから、その注目度が高かった森山と浅井。5年越しの因縁は、森山に軍配が上がった。不思議な縁によって結びつけられた二人の数奇な運命は、きっとこの先も麻雀界を大いに盛り上げてくれるだろう。

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