下石戟、
微差の空切り
文・渡邉浩史郎【月曜担当ライター】2026年1月5日
第2試合
東家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:石井一馬(EARTH JETS)
北家:下石戟(BEAST X)
大和証券Mリーグ2025-26、1月5日第2試合。
南4局、親番の下石。
を仕掛けてこの形。
ドラ切りの5800聴牌よりも、一撃で次局伏せれる赤ドラドラのマンガンのシャンポン聴牌を選択した。
河に赤く光る
の筋である
がシャンポンの片割れであることも、この選択を後押しする要因だ。
そして次巡、引いてきたのは嬉しい両面変化の
。
これ以外にもこのシャンポンには
や
引きでの両面変化があったが、ドラ絡みのこの辺の待ちよりもはるかに嬉しい![]()
。当然下石もこの変化を受け入れる。
しかし、積まれた牌の順番は時に意地悪。
2巡後、下石の手に舞い降りたのは先ほどまで和了り牌だった
。
思わず「人を馬鹿にして」と頭沸騰。怒りとショックに身を任せてツモ切っちゃう牌だが……。
試合後のインタビューで下石もこう述べた。
「ショックで空切るの忘れちゃいました。微差ですけど」
”空切る”とは引いてきた牌と同じ牌を手の内から切ること。
今回のケースだと下石の河に手出しの
→手出しの
と並ぶため、ちょうど対子落としをしたように他家からは見えるようになる。
こうなると下石の手にソウズの下で当たるようにはあまり見えなくなる。
は一枚見えていてポンされていない牌。シャンポンには当たりにくいし、![]()
や![]()
も一見すると出てきにくく見える。トップ狙いの石井や高宮からはイーシャンテンでも自然と打ち出されておかしくない牌になっている。
なるほど確かにこうしてみると空切りしたほうが得に見えてくる。しかし対人ゲーム要素もある麻雀では、また別の考え方も生まれてくる。
ここで「同じ状況で絶対にこういう牌を空切る」”A君”の存在を仮定してみよう。
そもそもこの点況の親番で
→
の対子落としというのはほんのり違和感を感じる手順である。単なる
→
の切り順とはわけが違う。
そこにA君のことを考えれば、![]()
待ちは出て来得る待ちの一つと言えよう。
では逆に考える。A君が
を空切りしなかった。それはつまり
ソウズの下(例えば![]()
)が埋まった(待ちに関連しなくなった)ので、空切る必要がなくなった
ということを意味していると言えよう。
いわゆる”勝手読み”ではあるが、戦っているプールが狭くなればなるほど相手への分析、いわば癖読みは大事になってくる。
ここは意図的か無意識か。癖を見せなかった下石が
を討ち取ってのトップ獲得となった半荘であった。
A君のことを考えると、実は南2局にも似たような場面があった。
ラス目の下石が
を切って、一枚目の
から仕掛けて![]()
のターツ落とし。
ラス親があるとはいえ、この仕掛けを受けた他家の第一感は高い仕掛けだ。
仮に下石に座っているのがA君で、![]()
待ちだとするとA君は
を空切りするだろう。逆説的にA君は![]()
待ちではない。
や
と何かのシャンポンや、![]()
への変化。牌の見え方次第では![]()
を通せる人も出てくるだろう。
下石がインタビューで微差と答えたのも、このあたりの傾向の読まれ方への意識があったのだろうか。
個人スコアもこのトップで永井へと猛追。2026年、再び剣戟が響き渡り始めた。

日本プロ麻雀連盟所属・35期後期生。麻雀と着物と民俗学が大好きなプロ雀士。















