天才の守りとゼンツッパ。
不調のフェニックスを
蘇らせた茅森早香の闘牌
文・危険な鬼太郎【火曜担当ライター】2020年12月8日
麻雀は押し引きを楽しむゲームでもある。
リーチを受けてただ降りるだけでは絶対に勝つ事が出来ず、いたずらにリーチに対して無筋をたくさん切り飛ばしても致命的な放銃をしてしまってラスを引いてしまう。この押し引きのバランスは非常に難しく、人によって考え方が全く違う所でもある。
ただ…Mリーガーは皆この麻雀の押し引きが巧みだ。
【2回戦】
東家 瑞原明奈(U-NEXTパイレーツ)
南家 藤崎智(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家 茅森早香(セガサミーフェニックス)
東4局 親・日向 ドラ
比較的小場で進んできたが、
ここで瑞原が高打点のリーチへと踏み込む。
この接戦の状況でマンガンでもツモろうものなら、断然トップ率が高まってくるがこれに茅森も追いつく。
序盤からタンヤオの手組を積極的に行っていた茅森もカンのタンヤオのみで追いつく。
出来ればタンヤオでリーチをしてマンガンクラスの手を作りたかったが、他家に先手を取られた以上、この手は交わし手に使う。
茅森がロン牌のを掴む。
私は茅森はを打ってカンのヤミテン続行をするものだとか思っていた。だが…茅森は、
ここは現物のを抜く。この程度の牌は普段から打っているように見えたが…。今回は特別マンズが瑞原に対して危なすぎる河なのだ。
瑞原の河を見て、恐らくソウズのリャンメン待ちはないだろう。
そしてを序盤に切ってのリーチ。マンズとのくっ付きのイーシャンテンの形だったのではないか?と想像するのは難しくない。瑞原の捨て牌に一切マンズが出てないからだ。
茅森はゼンツする場面がかなり目立つが、当たり牌を読んで止める事もかなり多い打ち手。
茅森は瑞原の当たり牌のを対子にして、678のタンヤオ三色聴牌をはたして流局にまで持ち込んだ。
を打って8000を放銃するのとではえらい違いだ。
茅森の粘りもあって各者、決定打をアガる事が出来ずに南2局を迎える。
南2局 親・藤崎 ドラ
茅森が勝負を決めにかかる。をポン!
手牌でドラ3が出来ている状況なのにを持たずに、
を持つあたり茅森のバランスは面白い。
の二度受けについつい受けてを切ってしまいがちだが、茅森は不自由な形を何よりも嫌う。やを引いたらとりあえずを打って、3900でもいいから好形での聴牌効率を目指す。
しかしすぐにが入り、
ドラ3の聴牌を果たす茅森。すぐにアガれるかと思いきや…。
このは山に全くいなかった。
茅森もこの事をよく理解していたからこそ、にくっつけたかった。
アガれない内に親の藤崎からリーチが掛かる。
七対子の単騎の聴牌。捨て牌も七対子臭くは無く自然なので、
攻めっ気たっぷりな人からはの放銃も狙えそうな待ち。
茅森はこの藤崎の親リーチに対して危険なで多少は止まった物の、覚悟を決めて切り飛ばした。
自分の手にドラがたくさんある以上、藤崎の手にはないだろう…。と言えなくもないが、茅森としては
「この手牌をアガリきれればトップは貰った…!」と思い、危険牌をプッシュしたのだと思われる。
これに現物を切って降りていた瑞原が巧みに追いつく。
さえ押せれば…一盃口ドラ1の待ちの聴牌。