鈴木大介、流儀と幸運のあいだで【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 1/16 第2試合(麻雀チャンネル2)】担当記者 小林正和

猪突猛進、大胆不敵、一直線、豪腕…
世間の大介像は、往々にしてこう語られる。

だが、その奥底はまったく違うのだ。

元々、「雀鬼流」という厳格な制約の中で麻雀を磨いてきた打ち手。牌理の自由度が限られる環境ゆえ、自分の中の基準と線引きを何より大事にするのである。

あくまで結果論だが、真っ直ぐ【5マン】を打ち抜いていれば、この【4マン】で内川に放銃となっていた。

では、弱気だったのか?

それについては断じて、違うと言える。
例えば、東3局

トップ目の萩原からリーチを受けた一発目。

大介は裏筋にあたる【6マン】を迷うことなく叩き切っている。
自身は3,900の愚形テンパイだ。このルールの中では、そこまで価値ある手ではない。

更に

安牌も増えつつある終盤には、間ヨンケンにあたる【6ソウ】ですら強気に打ち切っている。

ここでは、テンパイという土俵にアガリつつ、相手はトップ目のリーチ。もしかしたら、この時の「流儀」は「最後まで戦う」ことなのかもしれない。

麻雀というゲームはしばしば、確率と期待値の思考ゲーム として語られる。状況を細分化し、数字を積み重ね、合理の極限を探る。それが現代麻雀。

だが、大介に至っては、その範疇をこえた何か。数字では測りきれない、気配、覚悟、そして、矜持(きょうじ:自身に誇りを持ち、その誇りによって行動を律すること)を重んじている。

そう感じずにはいられないのだ。

南2局

山に3枚いるカン【6ソウ】待ちも、まるで3メンチャンかのような気迫と自信に満ちたリーチ。

あとは、牌が応えてくれさえすればいいだけ。

一方で、今日は大きなミスもあった。

南3局1本場

マンガン・リャンメンテンパイをオリた局。

寿人の河を丁寧にほどいていけば、【5マン】が当たるルートはほぼ存在しないことが分かる。

【中】ポン出し【6ソウ】【4マン】チー出し【8マン】【7マン】ツモ切り、そこに【9マン】手出しを挟み、最後は【1マン】チー出し【南】

まず、シャンポンで【5マン】に当たる形なら、厚く持てる【7マン】を先に処理しているのは不自然。

次に【2マン】【5マン】で当たるケース。
雀頭以外の手牌が【2マン】【3マン】【3マン】【3マン】【4マン】【5マン】【7マン】【9マン】だとして、【4マン】をチーしてカン【8マン】のテンパイを取らないという動きになる。これは現実的ではない。

単騎待ちも同様。
【2マン】【3マン】【5マン】【7マン】【9マン】のブロックから【7マン】を切って受け幅を狭くする選択は不自然で、この並びから【5マン】単騎は極めて考えづらい。

結局、あの【5マン】は、怖がる必要のないものだった。

「これは大きなミスでした! 次は【5マン】切るようにします!!」

思わず口をついて出た大介の言葉。
その瞬間、ふと将棋棋士・森内俊之の言葉が脳裏をよぎった。

「2回目のミスは致命傷になる」

僕が密かに大切にしているフレーズだ。
そして、この局面で思い出してしまったのは… ここだけの話。

ただ今日の大介は、ほんの少しだけ“らしく”なかった。

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