多井隆晴、ボーダー争いで示した“勝ち切る麻雀”【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 3/12 第1試合】担当記者 喜多剛士

三者がぶつかり合う展開となり、横移動すら期待できる局面を作り出した多井だが結果は多井の一人ノーテンで流局となった。

 

南4局1本場

トップ目の堀は、親番のため一度大きな加点が必要。多井は供託と1本場があるためアガリトップ。 太はアガればライバルABEMASを逆転でき、トップまで届けばなお大きい。そして個人タイトルがかかる永井は、ラス回避と1300-2600でのトップ、両方を視野に入れる。

親の堀は手がまとまるまで時間がかかりそうな重たい配牌。

太はアガリトップならドラの【白】から切る選択もあるが、役牌の重なりを見て【北】を選択。

永井は悪くない配牌ながら、ドラが白だけに1300-2600をどう作るかが課題。ピンフ系に向かうとして、あと1役をどうするか。【1マン】外しのタンヤオ、234の三色、イーペーコーと思考が巡る。

アガリトップの多井は1面子こそあるものの、愚形が残る苦しい形。四者とも決め手に欠ける配牌から、誰が抜け出すかが焦点となった。

そんな中、太は2巡目にドラの【白】を選択。狙いは500-1000のトップ。現状、ABEMASより着順が1つ下で▲20pだが、500-1000でトップになればトップ・3着でABEMASより+60p。しかしドラの白を重ねて2000-4000となると、多井と堀が同点2着となり+50pに下がる。“高すぎてはダメ”という条件戦ならではの、通常ではまず遭遇しない打点調整だ。

太は残したドラ表示牌の【中】が重なり、不安定だった567三色が【中】と両天秤で一気に仕掛けやすくなる。

多井は安全度の高い【發】を残したい場面だが、現状は役がない。萬子の形も弱いので234の三色や良形変化も見据え、【2ソウ】をギリギリまで抱える。

そして多井がピンフ・ドラ1のテンパイ。アガリトップゆえ、迷わずダマを選択。山に5枚。

堀も追いつき、カン【4マン】でテンパイ。

太は永井の【中】をポンしてテンパイ。カン【4マン】と三色のカン【6マン】の選択で、出アガリでトップが可能となるカン【6マン】を選択。三者テンパイで場は白熱する。

多井は通っていない【7マン】を引いたが、アガリトップで、場況の良い【1ソウ】【4ソウ】待ちのため打【7マン】で勝負に出る。

解説の朝倉が【7マン】「多少安全」と評した理由を補足すると、太が【4マン】【7マン】待ちなら、【中】をポンする直前は【3マン】【5マン】【6マン】【8マン】【8マン】【中】【中】となる。その前の【7ソウ】チーの段階では【3マン】【5マン】【6マン】【8マン】【8マン】【5ソウ】【6ソウ】【東】【中】【中】となり、チーして東または【3マン】切りでイーシャンテンなら安全度の高い【東】を残し、危険な【3マン】を先に処理したいところだが、あえて【3マン】を残しているのは【3マン】が関連牌であるからだ。巡目も深く、テンパイするまで危険度の高い【3マン】を切らない選択もあるため絶対ではないが、比較的【7マン】は通しやすく、【3マン】【5マン】【7マン】からのカン【6マン】の危険度が高いという読みだ。

そして最後は、太が掴んだ【4ソウ】が多井への放銃に。

ピンフ・ドラ1の2000点。多井がトップで試合を締めくくった。

 

ボーダー争いの渦中にいるABEMASの多井が、エースとしての責任を果たす見事な勝利を収めた。普段は堅牢な守備を軸にする多井だが、この日は要所でギアを上げ、攻め切る姿勢を貫いた一戦だった。

一方、ドリブンズの太は終始後手を踏む苦しい展開ながら、オーラスまでトップ争いを演じてみせた。展開に恵まれない中で、粘り強さはさすがの一言だ。

今シーズン苦しんでいる堀は、勝負手こそ入るものの、あと一歩が届かない展開が続く。 内容は決して悪くないだけに、どこかで流れをつかみたいところ。

そして風林火山の永井は、個人タイトル争いから一歩後退する悔しいラス。それでも依然としてタイトルを狙える位置にいる。次回の登板での巻き返しに期待したい。

それぞれの思惑が交差した一戦は、多井の覚悟が形となって幕を閉じた。

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