少牌、役満テンパイ…滝沢和典は本当に復活したのか【熱論!Mリーグ】

私は食い入るようにモニターを覗き込んでしまった。中途半端に見えるが、あとからみると唯一無二の選択だと感じた。リーチに現物のを打ってしまうと手は崩壊し復帰は遠くなってしまう。その一方でを打つと2シャンテンを維持できるうえ、次もを連打することによって時間を稼げる。通る牌が増えるし、ツモを見てから判断を先延ばしにすることができる。すんなり入ってくるようなら押し返せばいいし、さらに危険なところを持ってくるようなら引けばいい。

この選択には中途半端という言葉はふさわしくない。攻守のバランスの取れた「最適の保留」と言える。

結果はあっさりと佐々木がツモ、ハネマンを親被りするハメになり、オーラス見せ場を作るもののアガれずそのままラスを引いてしまった。

しかし、私はたしかに見た。逆境の中、保留の選択をせざるを得なかったものの、未来の逆転を見据えていた、滝沢の静かな瞳を。

競馬に「叩き二走目」という言葉がある。一回目は緊張のあまり、自分を見失ってしまったが、二回目以降は慣れてその実力を発揮できるはずだ。次回以降の滝沢にも注目していきたい。

 

さて、二戦目であるが、他チームが勝又、多井、園田を投入していく中、コナミ麻雀格闘倶楽部は佐々木が続投した。その場の空気に慣れる、という意味では2戦ワンセットで戦うのも有効なのかもしれない。多井が開幕からアガり倒し、ゲームを決めてしまったが、私は佐々木の麻雀にその強さを感じた。

もともと佐々木は「麻雀攻めダルマ」との異名をとるように、デビューから攻め一辺倒で次々と勝ちを重ねていった。しかし、ライバルとされた滝沢ほどではないが不調な時期を経験し、いろんな場所で麻雀を打ち、少しだけ丸くなったように思う。

これは東二局2本場の場面だが、なんと佐々木はこのを何のためらいもなくツモ切り。受け入れは倍近く増えるものの、は全員の危険牌。受け入れは増えると言ったが鳴ける牌が増えるわけではないし、をツモったらが出て行ってしまう。そういう意味ではメリットは意外と大きくなく、デメリットを考えるとをツモ切る選択もある。しかし、それにしてもツモ切るまでが早かった。もう新しい「佐々木寿人」のフォームが完成されているかのように感じた。その一方で手が入った時の構えは至ってシンプルだ。

これは南2局の場面。佐々木は十分形のイーシャンテンだが、実はこの直前にダントツトップ目の親である多井がドラのを切っている。その多井からいつリーチが入ってもおかしくない状況、と言える。しかし佐々木の信条は麻雀を深く考えすぎないこと。麻雀は難しいもので、いろいろ経験すれば強くなれるわけではない。手牌読みだとか、相対速度などを覚えるのは悪いことではないが、適材適所でその引き出しを使えないとかえって成績は落ちてしまう。佐々木はそういったものの一切をそぎ落とし、シンプルに戦うことでこれまで結果を残してきたのだ。

実際園田はこの手で長考。親の多井のリーチにを残すか考えていた。このように多井のドラ切りに各者が対応する中、

佐々木だけはシレっとこの安全牌であるもツモ切ってしまう。一番怖いはずの多井の下家で、である。おそらく他の選手なら安全牌を残し、を先に切ってしまうと思うが、佐々木は攻める手がきたら相手の河は一切見ない。このシンプルな麻雀がハマった時には手が付けられなくなるし、チャンスを逃すことはない。

結局をツモってリーチ。当たり前のようにマンガンをアガった。

結果的にこの半荘は3着に終わってしまったが、2副露のテンパイから回ったり攻め一辺倒ではない一面を見せつつ、攻めるときはシンプルな強さである「攻めダルマ」をいかんなく発揮した。

 

今後もタッキー&ヒサトのこの両名に注目していきたい。

ジャニーズか!

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    5 件のコメント

  • 解説のコバゴーも6pツモ切りのところで気が付いて突っ込んでたけど、6pじゃなく3mツモ切りが分岐では?
    どっちにしても鳴き手1シャンテンのセオリーに反するけど、見た目ほどは悪い選択ではない気がする。
    最善とは思わないのだけど。

  • ありがとうございます
    たしかに、前巡の3mに触れておくべきでしたね

    滝沢パートが長くなりすぎて、書ききれませんでしたw

  • 俺も人生初めてのフリーで特上民レベルの雑魚どもをカモってやるつもりで行って少牌したけど
    やはり誰もが通る道なんだなぁ(麻雀プロは雀荘で打たんのか?)

  • 厳しく書いた私も、少牌は何度も経験してますw
    自動配牌に慣れないうちは仕方ないですよね

    慣れたとしても、卓の種類によって勝手が違うのも難しいところ