これが現在の仲林だ。わがまますぎるボディをしているのがわかるだろう。こんなわがままな自分の体は初めてみた。こんな子に育てた覚えはない。しかしながら、鏡に映った仲林は情けないようで逞しくもあった。globeだ。
これから仲林は「100日後に小島よしおになる仲林」と言う目標を持ってやっていくので、見届けていただければ幸いだ。なぜ痩せたいかと言うと、単純明快、モテたいからである。もちろん下心である。
さて、また本題の話に戻っていこう。
前回のコラムで、プロポーズをすることに決めた仲林は、プロポーズまでの段取りを考えていた。まりちゃんがどうやったら喜んでくれるだろうかと言うのを、仕事中に熱心に考えていたのだ。最終的に仲林はまりちゃんの誕生日に照準を合わせた。
まりちゃんの誕生日当日。何ヶ月か前にまりちゃんとウィンドウショッピングをしているときに、一番気に入っていた婚約指輪を購入した。それに合わせて誕生日ケーキも買い、レストランの後に行く予定の知り合いのバーに届けに行った。そのバーの店員にマジシャンがいるので、その人にマジックで指輪を出してもらい、プロポーズすると言う作戦を仲林は考えついたのだ。それをマジシャン「アリマン」に伝えると、快く承諾をしてくれた。持つべき友はマジシャンだ。ちなみにアリマンは、麻雀ですり替えをしようと思えば出来るらしいのだが、いつもヒラで打ってくれるいいマジシャンだ。
しかし今考えると、めちゃくちゃクサいシチュエーションである。ギップルが見ていたら「クッサ」と言ってしまうほどだったに違いない。ギップルは魔法陣グルグルと言う漫画に出てくるキャラクターだ。ちなみに仲林は彼女にサプライズをするのが大好きなので、よくこういうことをしている。一度はサプライズされてみたいと思っているそこの彼女、仲林と付き合ってはいかがだろうか。
下らない話はさておき、家を出て二人で雀荘「キングダム」で麻雀をし、何回か打った後、「キングダム」とは反対口にあったちょっと小洒落たレストランに向かった。鉄板焼きのコースで、確か1人1万円くらいしたと思う。社会人2年生の仲林は少し背伸びをしてまりちゃんの誕生日をお祝いした。アワビのソテーやA5ランクの牛肉のステーキ、伊勢海老など、今思い出しても非常に美味しい料理の数々だった。
いつもの記念日はここで帰るのだが、今回は違う。仕込んでいた指輪を渡すために、知り合いのバーがあるから飲みに行こうとまりちゃんを誘い出す。共通の友達のバーだったため、まりちゃんに疑われることなく連れ出すことに成功をした。
池袋の北口にあったお目当のバーに到着した。ドアを開けると、1組だけテーブル席にお客さんがいた。仲林達はカウンターに通され、飲み物を注文した。
「キングダム」の常連だったアリマンはまりちゃんとも仲が良く、3人で昔話に話が弾んだのを覚えている。
30分くらいした頃だろうか。アリマンに仲林はマジックを見せてくれとお願いをした。
いろいろなマジックをしてくれるアリマン。それを見て喜ぶまりちゃん。それを隣で眺める仲林。なんとロマンティックな光景だろうか。まるで仲林のコラムでは無いようなお話で、全く面白くも無いのだが我慢してくれ。元からコラムが面白くないと言う人はすぐに閉じて、今すぐここから去れ。冷やかしは求めてない。冗談だ、最後まで読んでいってファボとリツイートしてくれ。
そしてついに指輪が出るマジックの順番になった。どんなマジックだったかあまり覚えていないが、なにかを燃やすと中から指輪が出てくると言うマジックだったと思う。
マジックを披露するアリマンの手から火が消え、彼の持つ糸には指輪が引っかかっていた。まりちゃんはまだ指輪の意味に気づいていなかった。それを仲林は受け取り、まりちゃんに見せる。彼女がプロポーズされるなら、この指輪がいいなと言っていた指輪だということに気がついたようだった。そして彼女に渡し、一言、
「結婚してください」
と言った。
まりちゃんは驚いた顔をし、指輪を見たあとにお願いしますと返事をしてくれた。アリマンに見守られながら、まりちゃんの細い指に指輪を通した。
テーブル席に座っていたお客さんにも祝福され、仲林達は永遠の愛を誓ったのだった。
それから、また別の日に彼女のお母さんと仲林家に挨拶に行き、お互いの家族に祝福された。
婚姻届を出し、晴れて仲林達は家族になった。本当に幸せだった。当時はこんな幸せが一生続いて欲しいと思っていた。しかしながら、永遠なものなどなく、幸せもある出来事を境に壊れてしまうのであった。