最強の暴君・瀬戸熊直樹は
荒れ狂ういくさ場を
いかにして戦い抜いたか
【B卓】担当記者:後藤哲冶 2022年12月10日(土)
昨年の最強戦ファイナル。
瀬戸熊直樹は掴み取った。
劇的な裏ドラ。魂の一牌。
観るものを魅了したその逆転劇は記憶に新しい。
映画にまでなったあの感動的な幕切れは、確かに一つの物語として完結したと言っても良いかもしれない。
だが――瀬戸熊直樹の物語が終わったわけではない。
昨年。瀬戸熊が最強位を獲った最強戦2021のファイナル1stStageにて、その前年度最強位である多井隆晴は無念の3位という形で最強位の座を降りた。
そして今年。同じく最強位という看板を引っ提げて、瀬戸熊がこのファイナル1stStageに挑む。
「多井さん、同じ轍は踏まないよ」
そんな少し冗談めかした瀬戸熊の言葉が聞こえてくるようだった。
連覇に向けて。
瀬戸熊の新しい挑戦が始まる。
麻雀最強戦2022ファイナル 1stStage B卓出場メンバー
ザ・レジェンド 優勝 前原雄大
女流プロ令和の乱 優勝 内田みこ
男子プロ因縁の抗争 優勝 岡崎涼太
現・最強位 瀬戸熊直樹
以上の4名。
東1局、まずは女流プロ令和の乱を制した内田みこの手順が光る。
この形から内田はの対子落としを選択。
一時的に6ブロックに受ける切りを選択する打ち手も多そうだが、ここはスリムに5ブロックへ。
ドラを使っての345三色が最高形か。
この形まで仕上げていた内田が、岡崎から切られた2枚目のをチー。
1枚目は打点との折り合いでリーチを狙ったが、もうこれ以上は見逃せない。
追い付いた親の岡崎がリーチ。
内田が引いてきたのは。
ドラがではいずれも通っていない。特にソーズ下は岡崎の河にはなにも切られていない。
一発で内田がを打ちぬいた。
これが岡崎に捕まる。
7700のアガリ。
内田が僅かに俯いた。
当然の鳴き、当然の放銃だろう。むしろ手組が良かったからこその放銃にも思う。
けれど。けれど今日だけは「結果」が欲しい。
そんな表情に見えたのは私だけだろうか。
東1局1本場は内田がを仕掛けて1000点のアガリ。
落ち着いている。東発から放銃に回った内田だが、そのアガリに向かう姿勢は一貫しているように見える。
東2局。そんな内田の姿勢に応えるように、好配牌が入る。
ダブ暗刻。ドラのこそ使いにくいが、メンゼンで仕上げれば十分に高打点が期待できる配牌だ。
しかしそこに割り込んできたのは前原。
打点的魅力は少ないが、このを鳴いて前に出てきた。