瀬戸麻衣が
歓喜の涙を流すまで
〜瀬戸熊直樹のイズムを胸に
【決勝卓】担当記者:千嶋辰治 2025年9月27日(土)
女流下剋上決戦、栄えある決勝に進出したのは以下の4人。




決勝はそれぞれに見せ場十分の戦いとなった。
それぞれの選手を中心に、勝負所を追いかけたい。
日向藍子の圧
東1局。日向の親番。

6巡目、南家の御子柴が役なしカンでテンパイ。
ドラがない、タンヤオや両面待ちへの振り替わりが考えられるためヤミテンにしていたところ、

日向からイーペーコーのカン待ちでリーチが入った。

テンパイしていた御子柴はさして迷う素振りも見せずに切りでテンパイを外した。
そして直後の瀬戸。

今シーズンから採用された麻雀クロックだが、これまでのグループリーグでは持ち時間が足りなくなった事例はない。
が、東1局の親リーチを受けた一発目、進退に窮する格好で時間を消費したのは瀬戸にとってプレッシャーになったかもしれない。

行くのか、退くのか、あるいは…。
必死に卓上へ目を凝らしている姿が印象的だったが、

瀬戸の選択は現物のをツモ切って慎重策を取った。
秀逸だったのは日向によるリーチの「間」だった。
先手が取れるとはいえ良い形とはいえない待ち。しかもヤミテンが利く。
リーチモーションに少しでも迷いがあったのなら、もしかしたら子方からの反撃を食らったかもしれない。
しかし、力みなく放たれたリーチモーションは若手選手を震え上がらせるのに十分な効果を発揮したようだ。
(…あの日向さんから淀みのない親リーが飛んできた。)
御子柴、瀬戸、川上のそれぞれに、もしも「あの日向さんから」という圧をかけられたのなら、

流局して得られたテンパイ料以上の価値があったはずだ。
川上レイの笑顔が歪んだ時
予選のゲームを観戦していて特に印象に残ったのは川上レイの表情だった。

川上のトレードマークは笑顔とウインク。
本人がそう努めているのかもしれないが、とにかく川上は笑顔を絶やさない。
それは麻雀最強戦の舞台でも同じだった。
そう。
この放銃を迎えるまでは。
日向による圧のこもったリーチが空を斬った後の東1局1本場。

この局、先制は御子柴。
ノミ手ながら主導権を取るべくリーチを打った。
その刹那のこと、

下家の瀬戸がを切って一気通貫のペン
待ちで追っかけリーチも、この待ちは山には売り切れ。
カラテンなので御子柴が有利かと思われた。
あれよあれよと2軒のリーチに挟まれたのは川上。

両者に通っている共通安全牌はなし。