
川上が長考に沈む中、わずかに訪れる静寂。
御子柴は緊張感を振り払うかのように身を伸ばして時を過ごす。

川上が河に放ったのは、

。先手の御子柴の現物であることから、もしも瀬戸が役ありだったらヤミテンにするケースが考えられる。
の勝負は理にかなっているだろう。

次巡、川上の手にやってきたのは。これも御子柴の現物。
安全牌に窮する川上はこれも勝負するも、手に残ったが怪しく光り始めた。
川上がに魅入られたのは、

瀬戸が打ち出したを日向がポンしたからだ。

を勝負した日向の姿を見て、三方をテンパイに囲まれたことを察した川上。
日向の河にあるを見て、通せと切り出すと「ロン」は瀬戸の声。


裏ドラは乗らず5,200点の失点で済んだ川上だったが、

悔恨の情にわずかばかり笑顔が歪む。
対して、山にないはずの待ちがアガリに繋がった瀬戸。
これは大きなアドバンテージを持ったといっていいだろう。
強がった笑顔の御子柴佑梨が涙に暮れた
対局後のインタビューをケラケラとした笑顔で語り出した御子柴佑梨。
しかし、その笑顔は彼女の精一杯の強がりだった。

「キツかったっすね。」
そう切り出した御子柴は、胸の奥から込み上げる感情を堪えきれない。

「普段だったら押せる牌も押せない。」
冒頭に示したように相手の動きに手仕舞いを余儀なくされていたた御子柴が、ようやく前に出られるチャンスを得たのは東4局1本場。
7巡目、まずは日向の手を見ていただきたい。

シャンポンかカンチャンか。
さらにはリーチの是非は。

珍しく時間を使った日向。時間を使ってしまったということもあってか、ここはカンまちのヤミテンとした。
その裏で、御子柴がこのテンパイに漕ぎ着けた。

トップ目の瀬戸との差が2万点弱。戦線に復帰するためにも数少ないだろうチャンスをモノにしたいところ。
これまで劣勢に甘んじていた御子柴としては、我慢して我慢して待ち望んだリーチだっただろう。
しかし、御子柴に神様は振り向いてくれなかった。
なぜなら、自分のように相手がローリングしてくれなかったからだ。

2人のテンパイのさらに裏側で、川上がこれも勝負のイーシャンテンを迎えていた。
御子柴のリーチの一発目、川上は無筋のをブンと振り回している。
そして、先にテンパイしていた日向。

安全牌がないということもあって、無筋のをブン。
2人にブンブン来られた御子柴。

祈るようにツモ山に手を伸ばすも、

そこにアガリ牌はいない。

まるで憧れの人を一日千秋の思いで待つ乙女のような御子柴。
そんな彼女にやってきたのは、憧れのではなく悲劇だった。