麻雀解説などで鋭い解説をしてきたレジェンド・古久根英孝。
12月4日の試合をチェックし、Mリーガーの麻雀を斬る!
【取材・構成:東川亮】
■園田の出来は悪かったんじゃないか
今日は3試合見ましたけど、特に黒卓の1戦目はまあまあ面白かったですね。
東1局で、寿人さんが
をリャンメンチーでタンヤオドラ赤赤のテンパイを取るんですよ。タンヤオ確定の
チーなので全く問題ないんですけど、たぶん他の3人に待ちを読まれているんですね。![]()
に見えるんですね、実際には![]()
なんですけど。
だから園田さんは
が浮いていたけど切らずにちゃんと回っていたので、そこは良かったですね。結果的に松本さんが倍満をツモって、その結果はしょうがない気がしますけど、読まれちゃうので、
チーテンは微妙だった気もします。不特定多数の選手とやっていたら、チーテン取るほうが断然有利なんです。ただ、今日のメンツがやっぱりトップクラスなので読み切られた感があるんで、こういうメンツではちょっと厳しかった気がしますね。Mリーグの、このメンバーだったら鳴かないほうがよかたかもしれないです。
鳴くのは普通ですよ。だけど、このメンツだと読み切られるので不利な感じがします。ただ
は止まらなかったような気がするので、それを踏まえて寿人さんもチーテンを取っている気がします。
東3局、園田さんが7巡目に
ポンの
バックの1シャンテンを取るんです。
赤1ぐらいの手でしたけど、これは悪手だなと思います。
のトイツしかないので、手が詰まりやすいんですよ。結局
のポンテンが入るんですけど、これは松本さんがうまいんです。
がロン牌だったんだけど、園田さんがリーチを受けて回ったように見えたので、松本さんが
を切ったんですよね。そうしたらその
をポンしてテンパイし直したんですよ。それで寿人さんに満貫を振り込むのが、最悪な悪手って感じですね。後手を踏んだので、そういうときはやめたほうがいいと思います。リスクを負ってまで粘ることはあまりない気がしますね。完全に、リスキーなままテンパイ取っちゃったのがよくなかった感がありますよね。今日の出来としては、かなり悪かったんじゃないですかね。そういうふうに映りました。
園田さんがバック仕掛けなのは間違いないので、園田さんが逡巡して手出ししたので、今なら切れると思って切ったんだと思います。ちなみに松本さんは1シャンテンから切った牌なんですよ。園田さんにテンパイが入っている気配があればたぶん切らなかったと思います。いろいろあった局でしたね。結局、寿人さんに園田さんが満貫を振り込んだ、彼にとっては最悪の局だったんじゃないでしょうか。
南1局、親の竹内さんがオタ風の
ポン、
ポン、ピンズのホンイツなんですよ。そこに園田が2シャンテンから1枚切れの
を切ってポンされちゃうのも、さすがにないかな、という局でした。
■元太の
単騎は疑問
南2局、みんな園田さんになっちゃうんですけど、この局は園田さんが初めていい手を打った局なんですよ。5巡目に2シャンテン戻しになる
のトイツ落としをするんですよ。これは秀逸で、1シャンテン維持しちゃう人のほうがちょっと多いかなと思うんですよね。だけど門前手順にする場合は2シャンテンに戻して手牌を全部対応させたほうが断然いいので。これはかなりいい手順でしたよね。2000-4000ツモったのも当然の一局でした。
南3局3本場。竹内さんが
ポン、
ポンで、小三元の
単騎にしたんですよ。これは悪手ですね。
にしてもドラの
にしてもどっちも同じで出ることはほぼないんで、だったら
単騎にして
引きでノベタンに変化させるとか、対応したほうがいいんでね。実際、
を引いたのは結果論なんですけど、
を引いて亜リャンメンに変えているんで、そう打つならそもそも
単騎が手順的に合っているので、なぜ
単騎にしたのかな、というのは疑問です。もちろん、相手に
を切らせないというのは守備的にはありますけど、自分が攻めている側で
を切ったからって、相手が
を切って攻め返してくるという局にはほとんどならないですよね。手が高いのがハッキリしているので。
■秀逸だった太の構想力
黒卓の2戦目、東1局。高宮さんがここから
を切る1シャンテンにしたんですよ。これは![]()
を切る人も結構いると思うんですね、シャンポンリーチの手もあるので。でも、ピンフ系の手順なら
切りって決まっているんですね。
切って
引いて
切って、この手順が完璧だったので、これはいいアガリにつながりましたね。1300-2600ツモアガリで。
東2局、太さんが5巡目にチートイツの1シャンテンになって、ホンイツチートイツも狙えるのでマンズを切る人も多いかなと思いますけど、太さんは
を切ったんです。そして最終形がなんとメンタンピンの![]()
待ちになるんですよ。これを想定するのは相当難しいんですよね。ですがたぶん、彼はそれも想定内だったと思います。ピンズを想定していた。これはすごいですよ、ほとんどの人はこういう打ち方ができない。メンタンピンになって1300-2600ツモ。これは秀逸でしたね。
この局、彼は1巡目に
を切っているので、マンズへのわたりがほとんど打てないんですよ。マンズとかソーズにそれ以上想定ができないから、ピンフ系にしていくのはピンズを引くしかないんですよね。でもこのピンズを引くのを想定していたと思うんですよ、
を切ったところで。そこは秀逸でしたね。今日一番秀逸だった局じゃないですか。
■高宮は鳴きに気を付けたほうがいい
南2局で、高宮さんがタンヤオで仕掛けてテンパイが入ったけど、2軒リーチにオリ打ちして3900を振り込んだ局です。これはテンパイしたら押し返すしかない手なんですよ。受けるならそもそも鳴かないほうがいい手順だったかなと思います。わりとこう打つ人も多いのかもしれませんけど、タンヤオでの仕掛けは気を付けたほうがいいですね、オリないほうがいいですよ、回りきれないので。というダメ出しです。
高宮さんに手が入っていたので、結果は良かったと思いますけど、鳴きに気を付けたほうがいいかなという印象ですね。ちょっと鳴きも多いタイプなのかもしれませんけど、食いタンだけは気を付けたほうがいいかなと。積極的に行くタイプだと思うので、今日回ったのは意外で、なんで回ったのかなと思いました。あんまり回っているイメージがなかったんでね。回って、振り込まなければいいんですけど、回れる牌がなくてオリ打ちしちゃったのは最悪だったかなって気がします。
■永井と三浦、対照的な新人2人の評価は
白卓の1戦目、永井さんが勝った試合も見ました。永井さんは強いですね。ギリギリのラインを押し返すのがすごいです。仕掛けても門前でも、ギリギリまでやめないですよね。最後の局の
チー、あれを鳴く人はあまりいないと思います。たぶん、最後はチーしないでマンズを重ねて![]()
になっていたんじゃないかな。そういう細かいところはちょっと微妙な気がしますけどね。
これで
単騎になったのは相当やり過ぎな感はありますけど、ズバリ当てていますものね。
単騎にも変えたりできると思いますけど、変えないのはどういうことか、ちょっと分かりにくいです。
永井さんは、活躍するのは間違いないですね。勝負するときに、勝算があるかないかで行っているんですよ。そして、勝算があると思ったらやめないので、最も基本的な押し引きですよね。こう打っている人は強いんだと思いますよ。
そうそう、この半荘で気になったのは、三浦さんがとても状態が悪いなというのが南2局に出るんですよ。11巡目に永井さんがリーチで、そこに岡田さんが突っ張っているんですよ。そこで、親の三浦さんが形テンの1シャンテンを取るんです。持ち点がダンラスなんでどうしようもないんですけど、どうしようもないときにどうしようもない人がどうしようもないことをしてしまうという、まさにそういう結果になりやすい、っていうヤツですね。
この局は永井さんが1000-2000をツモったんですけど、三浦さんは、こういう麻雀を打たないほうがいいと思います。たぶん、普通に本格派だと思うんですけど、マイナスしていることにちょっと焦りが出ているんじゃないですか。それだと持ち味が出ないんじゃないかと思います。

麻将連合所属。
かつて所属した最高位戦日本プロ麻雀協会では最高位を3度獲得するなど活躍。
RMU設立への参画を経て、2010年からフリープロとして対局解説や後進育成などをメインに活動する。
2025年、麻将連合に入会し15年ぶりにプロ業界に復帰、2026年1月より認定プロとなる。














