1回目は嫉妬
2回目は羨望
3回目は… もう笑っちゃうよな
桑田憲汰、前人未到の三連覇!
【決勝卓】担当記者:沖中祐也 2025年12月14日(日)
【いきなりクライマックス】
7巡目に親のJOKERは地獄待ちのリーチを打った。
競技プロ相手に地獄待ちは妙味がある。
安全牌として抱えている可能性が少しだけ高いからだ。
とはいえ、このリーチは押さえつけの意味がメインだろう。
「君たちは、よーいどんの東1局で、親のリーチに向かってこれるのかい?」と。
「リーチ」
愚問だった。
現最強位・桑田憲汰(くわだけんた)である。
リーチのみのカン
待ち。
ミニマムハンドで躊躇なく追っかけたのだ。
このときの心境を桑田は語る。
危険牌を切ってまで、よくいったよね。
ドラ(
)が見えてたのでいきやすかったですね。
いやいや、見えているとは言っても、1枚だよ?
それだけでも平均打点下がるじゃないですか。
愚形リーチのみは「やるな」って言われてきたけど、僕はそれを無視して打ってきたんで、この瞬間だけやらないのはおかしいなって。
1半荘のトップ取りは、毎局が直接対決である。
自分のアガリは相手のアガリを阻止することになり、ひいては確実に相手の優勝確率を下げる。
こうして桑田は最強戦で勝ち続けてきた。
500/1000、現王者の先制でこの半荘は始まった。
親を蹴られたJOKERは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、脇の2人は「桑田、よく親リーチを蹴ってくれた」とほくそ笑む。
ああ、もう終わっちゃうんだ。
今年の最強戦が。
【冬の風物詩】
最強戦に参加した多くのプロやアマチュアは、もうここにはいない。
羨望の眼差しで「あそこにいきたかったな」と思いを馳せ、1年が終わることを実感する。
Mリーグがプロ野球なら、最強戦は夏の甲子園だ。
一度の敗北が即、終わりを意味する。その残酷さが、一打一打の重みを極限まで引き上げる。
こうして残ったのがこの4人なのだ。
【ザ・リベンジ】
この半荘、主導権を握ったのは近藤だった。
4人テンパイに競り勝っての8000点。
近藤誠一。
一時期は引退も覚悟するほどの体調不良に見舞われたが、今ではそれが嘘のようにハツラツと麻雀を打っている。
昨年、裏ドラが乗れば2度目の最強位戴冠となるところだったが、桑田の魔力によってかき消された。やつはイシスのピラミッドか。
そして近藤はまた、このファイナルテーブルに戻ってきたのだ。
東3局。
JOKERが3900のアガリ。
東4局。
森山も1300/2600で応戦。
みんなで近藤を追う。
見逃し厳禁の電撃戦、南入りしてからも早かった。
桑田が連続して1300/2600をアガって、もうラス前だ。
一年が瞬く間に過ぎ去るように、この決戦もまた、気づけば大団円の時を迎えようとしている。
【近藤の作戦】














