猿川真寿が魅せたその勝利は 確率でも魔法でもなく――【 #麻雀最強戦2023 】 #最高勝率決戦 観戦記【決勝卓】担当 #後藤哲冶

猿川真寿が魅せたその勝利は
確率でも魔法でもなく――

【決勝卓】担当記者:後藤哲冶 2023年3月27日(日)

今年も、最強を決める戦いが幕を開けた。
連覇を果たした瀬戸熊最強位に挑むファイナリストを、1年をかけて決めていく。

今年初の予選となった今回は『最高勝率決戦』と銘打たれた。
過去の最強戦における予選の突破率の高い選手が集まったこの予選。
麻雀は運の要素が強い競技。どんな強者であっても絶対がないこの世界で、それでも他を圧倒する勝率を誇るということはすなわち、技術と経験が格段に長けていることに他ならない。

そうした強者たちがぶつかる中、予選で早くも優勝候補達が姿を消すことになる。

例えば2020最強位でもある多井隆晴が。
昨年ファイナル決勝卓まで駒を進めた友添敏之が。

これだけの選手達が一夜にして敗れてしまうというのは、やはり最強戦の予選とは残酷なシステムだと痛感する。

ではこれらの選手達を退け、見事決勝卓へと残った選手達を紹介していこう。

予選A卓1位 猿川真寿

A卓では開幕に倍満をツモってそのリードを守り切った猿川。
決勝卓でも強気なスタイルを存分に発揮し、『モンキーマジック』を見せることができるか。

予選A卓2位 前原雄大

あまりにも感覚的で強気すぎるスタイルにつけられた名前は「ボディ麻雀」。
頭ではなく身体で打つを体現する前原が、この決勝卓でも気持ちの良い押しっぷりを見せてくれるだろう。

予選B卓1位 前田直哉

リードしてから危なげなく局を回しきった前田が1位通過。
『岩石』とも揶揄される固すぎる打ち筋を崩すのは、至難の業だ。

予選B卓2位 石川遼

接戦となったB卓で、終始繊細な打ち回しをしていた石川。
勝負手こそあまり入らなかったが、絶妙な押し引きで辛くも2位通過。
1位しか通過できないこの決勝卓では、どんな打ち回しを見せてくれるのか。

この決勝卓、先手をとったのは前田だった。
親の石川がダブ【東】を仕掛ける中で、絶好のカン【7ソウ】を引き入れダマでも満貫のテンパイを入れる。

前田はこれをダマ選択。
ピンズは決して場況が良いとは言えず、ここは今なら全員から出ておかしくない【4ピン】【7ピン】をヤミテンに構えた。

これをほどなくしてツモアガる。
東1局で2000、4000は大きな加点だ。
しかし、リーチをかけていれば3000、6000だったと考えると、1位通過だけが生き残れるこのルールではリーチの選択もあったか。

いや、言い換えればこれは満貫でもツモれば十分なリードになるという前田の矜持かもしれない。

そんな前田を絶対に逃したくない3者。
東2局の石川の打牌に、そんな意志が感じられた。
このシーン、石川は勝負手だがドラの【白】が浮いている。

猿川の【6ソウ】ポンは少しきな臭い。
【4ソウ】【7ソウ】は悪いターツではなく、捨て牌もタンヤオにしては中張牌が余りすぎている。
であればこそ、このドラの【白】は打ち辛そうに見えるが……

石川はこのドラを強く切っていった。
確かに猿川は手出し【4マン】の後に【南】【發】と切っており、最初から【白】が対子であったようにはあまり見えない。
それでもこのドラ先切りは、予選の石川ではあまり見えなかった選択肢だ。

この局はダブ【東】が暗刻だった猿川のツモアガリとなったが、石川が闘志をむき出しにしているのがよく分かる一打と言えるだろう。

続く東2局1本場は、前原が先制テンパイ。
こだわって残したドラの【8ソウ】【9ソウ】をくっつけて、ペン【7ソウ】のリーチへ。

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