1回目は嫉妬 2回目は羨望 3回目は…もう笑っちゃうよな 桑田憲汰、前人未到の三連覇!【麻雀最強戦2025 ファイナル 2nd Stage】観戦記【決勝卓】文:沖中祐也

南3局、近藤はこの【發】をポンした。↓

トイトイ含みとはいえ、普段は重厚な近藤だから意外ではある。
その理由は点棒状況だ。
このままオーラスに突入すると、森山(対面)JOKER(下家)はオーラスに逆転するために倍満ツモ(以上)が必要になり、近藤からすると実質桑田との一騎打ちになる。
その状況になったら優勝確率は50%近くになるだろう。

こうして…

打点こそ400/700だが、桑田の親を蹴りながら2人の希望を絶つ値千金のアガリをものにする。

こうして昨年と同様に、最後は桑田VS近藤の争いとなった。
シードがあるとはいえ、何千人という参加者がいるのに、なんと数奇な運命だろう。

【予測不能な存在・JOKER】

だが、この局の主人公は桑田でもなく、近藤でもなく、「予測不能な存在」JOKERだった。

JOKERの条件は倍満ツモ。
そして分岐点が何回もおとずれた。

まずは6巡目。↓

テンパイである。
リーチ・ツモ・ピンフイーペーコー・ドラ2
倍満にするためには高目をツモって6本からオプション(一発や裏ドラ)が2本必要だ。

まず、このままリーチを打つ手がある。
高目ツモウラウラ条件は厳しいと感じるかもしれないが、イーペーコーを含む14枚だとウラウラ率は12%近くある。(重複のないピンフ手だと3%)

どのみち厳しいのであれば、この薄い確率にかけるのも一手。

次に【1ソウ】を切るという手がある。
【5マン】を軸にイッツーでの打点上昇を狙った手だ。
ただし、イッツーができあがったときにはドラが1枚出ていきやすいのが難点。

JOKERも考える。

麻雀という競技は、摸打の所作ひとつで人柄が滲み出る。
JOKERは競技麻雀に触れてわずか4年目だという。
そんな彼の一ツモ一ツモを見ていると、牌に向き合う誠実さと、優しさの中に通った芯がはっきりと伝わってくる。

そんなJOKERが紡ぎ出したのが打【5マン】ダマ。

こうしておいて、
・桑田からリーチが入ったらハネ直狙いの追っかけ
・他家のカンによる新ドラへの期待
・南家ゆえのハイテイ狙い
・アガれずともテンパイで差を詰める
などを期待するルートである。

次にツモってきたのが…

ドラの【4ソウ】
これがくるなら【5マン】を残しておきたかったが仕方ない。
JOKERは【1ソウ】を切った。
身を寄せてくれたドラに呼応するようにここから再構築していく。

【1マン】【2マン】【3マン】【7マン】【8マン】【9マン】【3ソウ】【3ソウ】【4ソウ】【4ソウ】【4ソウ】【4ソウ】【5ソウ】 ツモ【5ソウ】

こうなれば裏ドラに頼ることなく倍満になる。
以降はピンズが押し寄せてくるもカンチャンテンパイでは勝負にならない。
そして…

【6ピン】を持ってきてフリテンの【5ピン】【8ピン】テンパイ。
これでハイテイ前にリーチを打てば、リーチ・一発・ツモ・ハイテイピンフ・ドラ3で条件を満たす。

だが、テンパイが必須の近藤から仕掛けが入り、ハイテイがずれてしまった。

しかもポンされたのは自分の待ちである【8ピン】だ。
これで道はさらに狭くなった。だが、まだ火は消えていない。
一発だけにかけて…

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