情熱と情熱のはざまで
観戦記者が見た
麻雀最強戦ファイナル舞台裏
担当記者:東川亮/2019年12月14日(土)
招待
12月某日。
近代麻雀の編集者であり麻雀最強戦の実行委員長でもある金本晃氏との、竹書房社内で打ち合わせ。
その最中で最強戦の話題になり、「来られるなら会場に来ても大丈夫ですよ」とありがたいお話をいただいた。
麻雀最強戦。
筆者が麻雀放送を見るようになってから、毎年楽しみにしている試合の一つである。
特に一昨年の決勝卓、倍満ツモ条件の馬場裕一プロが代名詞である一色手でツモ倍満リーチを打ったときの興奮は今でも覚えている。
「それなら、ファイナルの日は会場に行かせてください」
そう申し出て、当日の会場を取材させていただくことになった。
最近はMリーグを取材させていただいているし、過去にはスポーツチームの取材をしたこともあったけど、麻雀における一発勝負の空気感というものはまた別だろう。
個人的に興味があった、というのが率直なところだ。
そして、せっかくならそこで感じたものを、麻雀最強戦ファンに少しでも伝えられたら、と思っていた。
最強位が決まる日
12月14日、朝。
東京の空は、青く澄み渡っており、空気は冷たいながらも気持ちがいい。
東京都内の撮影場所へ、歩みを進める。
ランニングをする人、観光者とおぼしき人。
すれ違いながら、徐々に気持ちが昂ぶっていくのを感じていた。
自宅を出て、会場には朝10時前に到着した。
控え室で、関係者の方々に挨拶をする。
置いてあったモニターの中では、アシスタントの鈴木ふみ奈さんが金本さんや星野編集長、黒木真生プロと麻雀を打っていた。
「これはコーナーの収録ですよ」
その場にいた竹書房のスタッフの方が教えてくれた。
コーナーは当日の朝に収録しておくのだそうだ。
ひとしきり準備を終えてロビーにいくと、CMやコーナーの収録を終えた梶本琢程さんがいた。
プロフィールで書いている通り、梶本さんは、自分が麻雀界に関わる直接のきっかけを作ってくれた方である。
カメラを向けると、変顔を作る。
「関係者面して歩いてんじゃねーよ(笑)」
「いやいや、取材ですから(笑)」
「ていうか、もっと早く来いよ!こっちは7時入りでコーナー収録やってんだよ!(笑)」
梶本さんの筆者の扱い、というか、梶本さんがオーナーのセット雀荘「麻雀ロン」における筆者の立ち位置は、だいたいこんな感じだ。
現場ではすでに、坂本大志最高位、アース製薬杯男子プレミアトーナメント優勝・岩﨑真プロ、著名人代表決定戦優勝・加藤哲郎さん、全国アマチュア最強位・小島レボリューションさんといった出場者の方々がスタンバイしていた。顔見知りの人同士は談笑したり記念撮影をしたりと、思ったよりも和やかな空気が流れている。
実況担当の梅中悠介さん。この方とはよく「麻雀ロン」で麻雀を打つのだけど、こうして仕事の現場で会うのは初めてで、なんだか不思議な感じだ。
午前11時30分頃、サイバーエージェント・藤田晋社長を除く全選手が集まり、リハーサルや説明、そして場決めが行われた。関係者の方についていくと、中継では何度となく見たあの卓、あのセットが眼前に広がる。
日本プロ麻雀連盟の黒木真生プロが進行について説明を行い、藤田社長不在のD卓を除く3卓の場決めが行われる。その日の運命が決まるかもしれない瞬間である。