「ポン」
ひたすら中張牌を切り続けるだけの地蔵になるよりかは、こうやって自己主張をしながら戦いに身を投じる方が、たろうの性にあっているのかもしれない。
今は確率の低いホームランよりも…
ちょいちょいあがれるヒットの方が価値は高いのだ!
瀬戸熊のリーチをかいくぐっての8000!
東4局。
567の三色をやっていたところにをツモってきた場面。
ピンズの3面張ができたけど三色は崩れたな…いや、を切れば456の三色があるか…と、なんとなくを切ってしまう人が多いかもしれない。
たろうはを切った。
これは単純にとの危険度の差だろう。
上家の瀬戸熊がドラのを切っており、よりはの方が安全そうだ。
それにしても丁寧である。
これはテンパイしてリーチするも、アガれなかった。
南2局。
この素晴らしい手牌。
選択肢としては誰も使っていなさそうなマンズの上部分()を活かす打。
いっそ染めるピンズ落とし、そしてたろうの切った…
打。これはおそらく下家の沢崎に対しての受けの意味が強いと思う。
沢崎はソウズのをリャンメンチーしており、テンパイするまではや、ましてやピンズは絶対に鳴かせたくないところ。
たろうはマンズ部分が出たら鳴いて沢崎の親をかわそうと思っていたと推測するが
自力でテンパイを入れてしまう。ここでも打の三暗刻にせず、打リーチにしようか迷っていたそうだ。しかしたろうはを切った!
なぜなら沢崎の捨て牌にがあるからだ。がロンと言われたら激痛だが…
チーならむしろが出やすくなると言える!
これをすぐにツモって2000・4000!
この後もオーラスまでリードを守り切り、
まつかよに会うことができた。
この半荘を受けドリブンズは
6位のPirateまで、もうワントップというところまで辿り着いた。
ここまで長かった。
本当に長かった。
ドリブンズはスタートダッシュにつまづき、-200pt手前をうろうろしていた。このときは誰もが
「ドリブンズだから、すぐにプラスに浮上する」
と楽観的だった。
ところが12月、-300ptを超え、さすがにメンバーも焦りの色を感じていた。
年が明けても、調子は振るわない。
とうとう…
チームにゼウスがいるのにも関わらず、神に祈った。
しかし、それでも勝てない。とにかくトップが獲れないのだ。半荘にして22試合、日数にして51日間、トップに恵まれない時期が続いた。
その後も
あの冷静沈着な園田がツモに祈りを捧げていた。
丸山も手を震わせながら必死にくらいついた。
ひたすら「期待値」を追い続けるチームが、心から「結果」を渇望している!
しかし、その思いもむなしく、残り30試合を切った時点で
チームポイントは-500ptを超えていた。
この瞬間、ドリブンズならやってくれる!まだまだわからない!と言い続けてきた人たちも、さすがに掛ける言葉を失っていたように記憶している。私も記事内で「自力優勝の芽がなくなった」と表現した。