さいばら&山崎の でかぴん麻雀入門【第10回】
点ピンは永遠の適正レート
サラリーマンの麻雀のレートと言えば、昔から点ピンが一般的でした。
信じられないかもしれませんが、この定番レートは50年くらい前からあるんです。
月給が数万円の時代なのに、1トップ数千円を賭けるんだから、当時としてはけっこうな高レートです。
もうひとつ意外なのは、その当時は点5などの低レートは存在しなかったこと。
なので、サラリーマンや学生が麻雀を打つことは、当時はシビれまくりの大勝負だったんです。
ぼくが麻雀を覚えたのは40年近く前の学生時代。
学生とは名ばかりで、実際には高田馬場のパチンコ店で正社員として働いている時に、先輩から教わりました。
「おい新人、麻雀できるか?」
初出勤の日にいきなり誘われて、もちろんカモ。
「授業料だよ授業料、そのうち勝てるようになるから」
ゲーム機もインターネットも無い時代なので、麻雀を覚えるのは、実戦でカモられながら、というのが普通だったんです。
運が良かったのは、ぼくが配属されたのが「雀球」コーナーだったので、仕事中に麻雀の勉強ができたこと。
「ペンチャンは制約のあるリャンメン」
「九連宝灯は、258のアンコが先にできると完成しにくい」
などの牌の組み合わせの法則に、いくつか気づきました。
おかげで、わりと短期間であまり負けないようになったんです。
実は、これがカモへの近道なんですけどね。
●カモには親切に教えて、中途半端に強くなってもらおう。
今で言えばゲーム機やインターネットを利用して、低コストで練習したようなものです。
当時悔しかったのは、先輩にウソを教えられたり、小さなズルをされたこと。
時には組んでカモられたこともあります。
そうなると、誘われてもあまり打たなくなります。
●カモを不当にいじめてはいけない。ゆったり育てよう。
また、いつも負けて現金で払っているのに、たまに勝つも、ツケにされるのもイヤでした。
次にそれ以上負けると、現金を出すのは自分だけになってしまうんです。
そういう先輩とは少しずつ打たなくなり、やがてフリーで打つようになりました。
●再生産ができないくらいカモってはいけない。金の卵とアヒルの教訓を思い出そう。
●カモに負けたら潔く払え。
たとえ貸しがあっても、現金で払うくらいでちょうどいい。
カモネギ
養成講座
「レートはなるべく高いほうがいいね」
今から10数年前、麻雀を覚えたばかりの「パチンコ必勝ガイド」の末井編集長(当時)です。
「御意にござります。ここは末井さんのご意向をくんで、5ピンということでいかがでしょう?」
揉み手でヨダレを垂らしそうになっているのは、当時末井さんをカモっていた大手広告代理店のMさん。
「いっそのことデカピンのほうがいいなあ…」
「ひーっ」
これは西原理恵子さんね。
●カモのワガママは聞くべし。
●カモ一人は良くない。
末井さんとMさんは、たいていサシ馬を行ってたので、実質レートはさらに高くなります。
当然、勝ち頭はMさんですが、当時負け頭だった末井さんも、Mさんと打つのは楽しそうでした。
一人前の大人として、話題は豊富だし、マナーや金払いもいいからです。
「徹マンは疲れるね。たまには温泉にでも行きたいなあ」
「御意!」
さすがに広告代理店勤務、すぐに伊豆の超高級温泉旅館を手配してくれました。
「ここは、旧三菱財閥の創始者岩崎弥太郎の長男の別邸だった由緒ある旅館です。庭園の広さは三千坪だそうです」
庶民からすると浮世離れした豪邸で、部屋から庭園に降りる靴脱ぎ石はの大きさはベッド並み。
もちろん麻雀部屋を用意してるのが、Mさんの抜け目のないところです。
●カモのワガママは徹底的に聞くべし。
●ワガママのモトを取る準備もしておこう。
Mさんいわく。
「西原さんは末井さんのように、一芸に秀でていて負けず嫌いの人は、いい投資先になる。お二人は稼ぎも大きいので理想ざんす」
ギャンブルはレートが上がりすぎてしまうと、軍資金が切れがちですが、ふたりはだいじょうぶでした。
Mさんは末井さんのレートアップの要求に、どこまでも付き合いました。
麻雀ならMさん有利ですが、サイコロなどの偶然性の強いギャンブルはその限りではありません。
「そりゃあ!」
ウワサによると、ある日のサイコロ勝負で、末井さんはそれまで○年分の負けを、たったひと振りで取り返したそうです。
「おみそれしました!」
負けたMさんの態度も立派だったと聞きました。
●レートアップはそこそこに。
●ギャンブルは腕で勝てるものと、そうでないものがある。
●ギャンブル友だちは楽しい。
(文:山崎一夫/イラスト:西原理恵子■初出「近代麻雀」2010年10月15日号)
●西原理恵子公式HP「鳥頭の城」⇒ http://www.toriatama.net/
●山崎一夫のブログ・twitter・Facebook・HPは「麻雀たぬ」共通です。⇒ http://mj-tanu.com/
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