「マツ、楽しかったな」Mリーガー松本吉弘が書き下ろす最強戦敗戦記

この局を振り返ってみた今でもどっちが良かったのかは正直わからない。
ただ結果もさることながら、ダマテンにしていれば全く違う結果になっていたし、もっともっと考えれば回避できてたかもしれない。
ダマテンにすれば良かったかもという後悔もある。
蛮勇だったのか?目が上がってしまっていたのか?

だが自分でも上手く言えない感情だが、あの時あの場所でした選択はリーチだった。

よく後悔が無いように打つという言葉があるが、それは無理だ。
僕は麻雀を打つたびに後悔の連続だ。
後悔しなかった局など1つもなかった。

ただその後悔の中でも失敗したかもしれない局で何も得れなかったら1つも成長することなく負けを積み重ねるだけだろう。

僕は麻雀は選択と後悔の積み重ねだと思っている。後悔の数だけ強くなると信じている。

今回の大きな後悔を糧にして必ず更に強くなると心に決めた。

放銃の後は、試合前に抱えていた不安はどこかに消えていた。
東1局とはいえ、箱下24000という果てしないビハインド。
ただ半荘が終わるまで諦めたり、無理だと思った局は1度も無かった。
やるしかねえ!という気持ちでがむしゃらに打ち続けた。

8000点 8000点とアガって少しずつ追い上げて、迎えた最後の親番南2局。

この親番で稼がないとかなり厳しい。

白鳥プロから仕掛けが入り、3副露。

自分にも聴牌が入る。

を切れば聴牌。ただ白鳥プロにはかなり危険。を切って回るか、を叩き込むか。

回って間に合うのか?大トップ目の朝倉プロは親以外に差し込んで、局を消化すればほぼ勝ちは濃厚。つまり相手は自分のツモと、朝倉松本からの抽選も受けれることになる。
そう考えると回ってる猶予はない。

残り無筋も相当少ないが選んだ選択は
聴牌取りの
無情にも響くロンの声。

崖に掴みかけていた所から落とされた気分だ。

ただ残り2局。諦められない。まだこの場所で打ってたい一心で1牌1牌ツモった。

南3局に12000をアガり、なんとか役満ツモ条件。

しかし2着抜けのこのルールに置いて、この縦長の展開を制するにはあまりに時間が足りなかった。

白鳥朝倉両者のコンビネーションであえなく終局。

どっと力が抜けた感触があったのを今でも忘れない。

勝ちたかった。
たくさん応援してくれた人たちがいた。
この自粛が続いた世界で、久しぶりに来た本番で結果を出せなかったのがただただ悔しかった

年に一度の最強戦の大舞台での試合が終わってしまった。もっと打っていたかった。
翔ちゃんに勝って強くなったところを見せたかった。

帰宅してTVで決勝を観る。
優勝は滝沢プロ。みんなカッコ良かった。

まだ残る悔しさ。

翔ちゃんと電話した。

『マツ、楽しかったな!』

この言葉だけで後は何も要らなかった。

チームメイトの日向プロも試合後によく頑張ったとのLINE。
解説である多井プロも
『松本成長したな!この経験がまた更に強くなるよ!大四喜?!おいしーじゃん!』

自分がくよくよするのがバカらしくなるくらい気持ちいい言葉をかけてくれた仲間たち。
こんな自分を応援、支えてくれた皆。
本当にありがとうございます。
自分の麻雀の人生はまだまだ続くし、この5月10日はその中のほんの1ページかもしれない。でもこの1ページをどれだけ大切なものにできるかは自分次第。
松本吉弘という1麻雀プロのストーリーをより色濃く良い物にする為に、この日を忘れずに
これからも精進して行きたいと思う。
長くなりましたが読んで頂いて本当にありがとうございました!!!!
まだまだ未熟ではありますが、毎日毎日強くなって成長していきます!見守って今後も応援して頂けたら幸いです!
今後とも松本吉弘をよろしくお願い致します!!

日本プロ麻雀協会 渋谷ABEMAS 松本吉弘

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