【西原理恵子 & 山崎一夫】コロナに負けるな! でかぴん麻雀入門特別編 その3

毎月赤字三百万円
高田馬場店閉店

こんにちわ。
コロナによる営業自粛で、毎月家賃その他の経費で大赤字が続いています。

私は中学生時代のヤクルトもどきの販売代理店の経営から、弁当店雀荘など10軒ぐらいの実店舗の運営をして来ましたが、今回ほど苦しいのは初めて。

先月まで残っていた3軒のうち1軒は、資金繰りのメドが立たずに、閉店廃業しました。

前回報告したように、家賃の一次的な減額のお願いや、保証金からの引き当てが全て断られ、新たに不動産の賃貸契約の更新が迫っており、更新料を払ってまで継続するのが難しかったからです。

これは私のマネジメントの限界、実力不足が主な原因。日ごろから充分儲かっていれば、たとえカラ家賃を払ってでも、店舗は維持できる。

毎月の売り上げが損益分岐点、つまり損失も利益も無い状態を余裕で上回っていれば、数か月の赤字には耐えられる。損失を取り返すのは後でいい。

お客さんやクルーにとっては、そのほうが便利ですからね。

現状の損益と資金繰りの他の判断材料として、コロナ後の景気の動向があります。

明槓の、違う。民間の調査会社によると日本のGDPは20%落ち込みそうだとのこと。

GDPの詳しい定義は知りませんが、たぶん人や物やお金の動きのことかなと思ってます。

たぬは儲かったり赤字だったりの損益分岐点のクリアに余裕が無いので、20%の減少はとても厳しい。

実際、営業を再開してからも、神保町店と新宿店の開店休業状態が続いています。

店を開けると人件費その他の経費で赤字が大きくなるというジレンマです。

たとえ経費が増えても、営業再開しない限り復活は無いので、やるしかない。

これまの出店や倒産の経験が多少はあるので、ここが辛抱のしどころだと思うことにしてます。

で、閉店した高田馬場店ですが、賃貸契約解除は大家さんや不動産屋さんの協力で、比較的順調でした。大きいのは契約解除の事前告知期間の短縮。

住居用と違って営業用の物件は

「何月でやめます」

というのを3か月前とか6か月前とかに、伝える期間が長いんです。

急にやめたい時はどうするかというと、カラ家賃を払うしかない。

もったいない話ですが、営業を続けることによって、家賃プラスの赤字が増えるようなら、そうせざるを得ない。

これも前回述べましたが、契約書には家賃を保証金で充当することはできない、と書いてあるのが普通。

でも、実際に払えないと保証金から差っ引くよと。

ここに相談の余地がわずかに有ります。

実際わずかです。

預けてある保証金は、契約上返却までの期間が、東京では3か月後、6か月後などが多いんです。

最長6か月前に通知、閉店6か月後に返却って、そんなアホなって感じですよね。

これは資金繰りのギャップが大きすぎて厳しいです。

不動産屋さんの社長とは長いつきあいで、たまに一緒に飲みながら不動産のことを取材されてもらったこともあります。

なんとか相談に乗って貰って、あまり無理の無い撤退ができたのはラッキーでした。

あの、これは私の見解で、相手は

「わがままだなあ」

と思ってるかもしれません。

大学生は休講
仕事はテレワーク

営業を再開したのはいいものの、お客さんはほとんどいません。

新宿店は閉店した高田馬場店と近いので、ありがたいことに常連さんが移ってくれました。

クルーも数人移動してくれたので、お客さんも安心のようです。

一方の神保町店は、覚悟はしてたものの厳しい。

近くには日本大学や専修大学、明治大学、協立女子大などがあるんですが休講が続いてます。

神保町駅と九段下駅の間に、専修大学の新キャンパスができて期待してたんですが、まだ一度も学生が登校したことおまへんにゃわー。

学割セット百円も効果無し。

大手出版社の小学館や集英社も近くですが、テレワークが定着して出社する人が激減だそうです。

名物の古本屋街やすずらん通りなどの商店街も、人通りは激減。都心にシャッター街出現。

神保町店のある千代田区は、ただでさえ夜間人口が少ないエリアで、頼みの綱の昼間人口の多さも、テレワークで激減。

たぬは16卓あるんですが、従業員の数よりお客さんが少ないことも多い。

郊外から都心に遊びに来るのは山手線までで、神保町のような超都心にはなかなか来てくれません。

予断は許されませんが、ごく最近になって僅かな希望も見えてきました。

ぼつぼつですが、常連さんが顔を出してくれます。

「たぬやってたんだ、すいぶん長く休んでたね」

それと高田馬場閉店で、その分赤字が減ったことと、常連さんが他店への移動に協力してくれたことなど。

地元50年の店の倒産は寂しいですが、良く役割を果たしてくれたとも言えそうです。

(文:山崎一夫/イラスト:西原理恵子■初出「近代麻雀」2020年8月号)

●西原理恵子公式HP「鳥頭の城」⇒ http://www.toriatama.net/
●山崎一夫のブログ・twitter・Facebook・HPは「麻雀たぬ」共通です。⇒ http://mj-tanu.com/

さいばら&山崎の でかぴん麻雀入門は毎週水曜更新!!(次回は7月8日更新予定)

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