裏が乗って7700、これで茅森が二番手に浮上、白鳥はラスまで落ちた。
手痛い放銃となった白鳥だが、次局にドラドラ赤赤、ツモって大逆転トップのハネ満となる待ち平和テンパイを入れる。
ただ、リーチをしたところでハネ満の出アガリであれば村上からの直撃以外ではトップまでは変わらず、一方で満貫直撃なら村上をまくってトップになるため、ヤミテンでのツモか直撃を狙う。
しかし茅森がリーチを打ち、場に供託の1000点が出たことで、白鳥にはどこからの出アガリでも逆転トップとなる条件ができた。
さらに茅森はアガリ牌以外はツモ切り。
ならば、リーチで真っ向勝負。
二人が勝負のリーチを打った局面だったが、アガリ牌は藤崎が吸収し、流局。
またも上下の差が詰まる。
決着がついたのは、南4局2本場だった。
テンパイ一番乗りを果たしたのは藤崎、カンの一盃口ドラドラ、ツモるか村上からの直撃で逆転トップだ。
その後赤を引き、どこからの出アガリでもOKに。
白鳥が打ったはを鳴いている茅森の急所中の急所。
おそらく「チー」の発声をしようとしたのだろう、しかしその前に、大きくはっきりとした「ポン」の声が対局場に響いた。
村上だ。
チーとポンは、著しく遅れた発声などでない限りはポンが優先される。
村上はこの鳴きでテンパイを入れて白鳥から出アガリ、卓トラブルによる中断を含めると2時間10分にも及んだ超ロングゲームに終止符を打った。
リーチや大物手同士でぶつかり合うという展開は、確かに見ていて爽快だし、ハラハラドキドキするものだ。
一方でこうした静かな攻防も、非常に見応えがある。
4者がそれぞれに好手を繰り出し、拮抗していたことで生まれた絶妙なバランス。
野球でいえば、前者がお互いにホームランを打ち合う乱打戦なら、後者は先発投手が好投し、エラーもなく、0-0で続く投手戦といったところだろうか。
こうした試合も、麻雀の醍醐味を感じられる試合の一つと言ってもいいかもしれない。
息詰まる一戦を終え、勝利者インタビューを受ける村上の顔はいつも以上に紅潮しているように見えた。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。