君は見たか? 交錯する3人の思いをすべて飲み込んだ 魔王・佐々木寿人の一撃を【Mリーグ2020観戦記11/3】担当記者:ZERO

安目ながらフリテンを引き戻しての待ち。

見合っているよね?
自分で確認するように間を置いてから魚谷は

落ち着いたリーチの発声とともにを横に曲げ、追っかけリーチを宣言した。

数々のタイトルを獲った後、Mリーグでも昨シーズンにMVPに輝いた魚谷。
どんな状況でも慌てず、対局に集中し、自分の麻雀を貫き通す。

そんな魚谷はもう「女帝」の風格さえ漂っている。

魚谷はこうやって「女流最強」などと女性を特別視することを嫌うが、どうしても丸山との鮮やかな対比を感じてしまう。

プロ入り2年めでMリーガーになり、急成長を見せる丸山。
その丸山の攻撃を真正面から受け止め、反撃する魚谷。

女帝に立ち向かう新人。卓上での火花が美しい。

この局は萩原からが打たれて、横移動で決着した。

「萩原の執念」か。
「女帝対新人」か。

今日はどっちかの構図を描こうかな。
観戦記者である私はそう思っていた。

しかし、1人の男が一撃で全てを持っていった。

魔王降臨

その一撃がいかに凄かったのかを解説していく。

東4局8本場

流局続きで8本まで積み上がった東4局、親番の寿人の配牌は

ダブが暗刻と上々。

順調に手が進んだ寿人は、ここでテンパイ。↓

…その前に上家の捨て牌を見てもらいたい。が切られている。このは3枚目であり、オマケにも1枚切られている。

形だけ見たら打点が落ちるのでスルーするのもわかる。
しかしもう一度状況を整理する。

・8本場で供託が1本落ちている→アガるだけで3400点のボーナス付き
はもうほとんどない

・11巡目

おそらくほとんどの打ち手が渋々といった感じでチーテンをとるのではないか。

なるほどこのツモは寿人しかたどり着けないテンパイ形かもな…そう思っていたら

「リーチ」

耳を疑った。

暗刻のダブ東を惜しげもなく横に曲げたのだ。
決めていたのだろう。ノータイムだった。
ボールがきたから打つ。
スポーツ選手が本能で体を動かすように、寿人の動きに1寸の迷いも感じない。

くどいようだが、もう一度状況を確認すると

・11巡目
・供託わんさか
・ダマでも親マン確定

・愚形

と、ダマにする要素はいくらでも挙げられる。

「そんなんじゃ終わらせねぇよ!」

紫電一閃!

一発ツモからのウラウラ!

8000は8800オール!

全部合わせて27400点の収入!

「これがあるからKONAMIファンはやめられねーぜ!」

ファンの歓声が聞こえてくるようだ。

あとは焼け野原だった。
この焼け野原は、寿人にしか見ることができない風景だ。

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