しかし魚谷は、自身の経験と信条で、差し込みをしなかった。
麻雀は、それぞれの読みと動向がしっかりと噛み合って美しい結果を生み出すことも素晴らしい。
しかしこのように──、
それぞれに過去があったり、この半荘の出来事が影響したりして、
お互いの思惑通りに進まない、不協和音のようなもどかしい、難しい局面になることも、
人間同士の戦いとしては本当に面白く、魅力的ではないだろうか。
堀と魚谷、共に新潟県が生んだ一流の麻雀プロである。
それなのに、二人の人生も、この半荘の経緯すらも二人の麻雀に異なった影響を与え、
台本通りにはいかない、二度と見られないようなドラマを生み出していたのである。
日本プロ麻雀協会1期生。雀王戦A1リーグ所属。
麻雀コラムニスト。麻雀漫画原作者。「東大を出たけれど」など著書多数。
東大を出たけれどovertime (1) 電子・書籍ともに好評発売中
Twitter:@Suda_Yoshiki
\ほぼ毎日4コマ最新⑤巻 好評発売中/