数字を超えて、海賊団が全てを搔っ攫う【Mリーグ2021観戦記3/11】担当記者:越野智紀

カン【8マン】も鳴けて電光石火の満貫テンパイが入ります。

小林選手のドラ暗刻の印象で忘れさられていましたが、狙い通り三色へと手が伸びていった親番の堀選手。

安く見られがちな小林選手の仕掛けと言えども場に見えていない役牌がドラの【東】【南】だけになってしまっては消去法的に危険度が上昇。

もう指をくわえて見てる場合じゃないとペン【3ソウ】をチーして三色のテンパイで小林選手のアガリを防ぎにいきました。

堀選手のペン【3ソウ】の仕掛けを受けて字牌の警戒度が増すと、小林選手はペン【7ソウ】に待ち変え。
【8ソウ】単騎から変化したようにも見えるので、他家が警戒するべき牌の範囲が広がります。

次の【9ソウ】は手出しにすると萩原選手の切った【9ソウ】にロンをしてないことから【9ソウ】単騎待ちが否定され、空切りと読まれてしまいそうなのでツモ切り。

ここで何を手出ししてもソーズが警戒されてしまうなら単騎に見える可能性は消さない選択をしたほうが他家が打ちづらくなり良さそうです。

仕掛けた後の手出しツモ切り問題は副露率が高い小林選手にとって絶対に間違えられない生命線とも言えます。

字牌単騎も【4ソウ】も警戒しなければいけなくなった高宮選手は撤退を余儀なくされ、小林選手の狙い通りの展開になり

【7ソウ】をツモアガリ。

【7ソウ】の上下を回転しながらツモり、【9ソウ】【8ソウ】を右に移動して素早く【8ソウ】【9ソウ】に入れ替えての倒牌。

小林選手の一連の美しい動きです。

常に見やすさを意識している小林選手は、鳴いた時も副露牌と手牌がカメラにしっかり収まる瞬間を作ってくれて非常に助かります。

小林選手の仕掛けを警戒して機敏にテンパイを入れた堀選手でしたが、なんとこれ以後一度もテンパイが入らず出番無し。

今シーズン最後に一番苦しい牌の悪戯を受けて痛恨の4着という結果に終わりました。

東3局。

繊細な仕掛けを見せる小林選手はカン【2マン】チーと出航するも

萩原選手のカン【4ソウ】チーを見て、タンヤオには見えないと345の三色も警戒しながら【2ピン】はポンせず。

1つ鳴いたらなんでも仕掛けるというわけではなく、周りの動向を確かめながら2つ目以降の鳴きを慎重に判断していきます。

そして【發】が三枚になった時だけ戦う方向に舵を切り

その波に上手く乗ると、【發】が揃ったところで【4マン】を勝負すると

タンヤオに移行した萩原選手から【1ピン】を討ち取ることに成功。

この後も萩原選手との攻防が続き、抜きつ抜かれつしながらトップ目で迎えたオーラスの小林選手は

またも仕掛けての勝負。

役牌もすぐ鳴けてイーシャンテンになり、そこから【7ピン】を引っ張り続けて【1ソウ】【4ソウ】でテンパイが入りました。

少しでも早くリーチを打って小林選手を降ろしたい高宮選手でしたが、本日初のテンパイは場に3枚見えのカン【8ソウ】

堀選手と同様に呪われた日になっていた高宮選手は、この試合で唯一入ったテンパイも外して一日テンパイせず終了。

着順アップの為に戦わざるを得なくなった堀選手はチャンタのイーシャンテンまで進みましたが、安全に落としたつもりの【3ソウ】【1ソウ】

小林選手がアガってトップ逃げ切り。

安全牌の【西】やテンパイへの受け入れを最大限にした【3ソウ】を残すと他家から待ちが読まれやすくなるところ、引っ張り続けた【7ピン】が効果を発揮して【1ソウ】【4ソウ】待ちが盲点となりました。

最高の仕事を完了させ、第2戦の瑞原選手に良い形でバトンを渡した小林選手は

「Mリーグはチーム成績が一番だと思っているのですが、MVPを狙ってる人が沢山いるなと見ていたので… 最終戦は誰かが叩き潰しますよ」

と、珍しく狂暴なロボの一面も見せてくれました。

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