タカハルの落涙から一年 今年は4人で勝つ! 白鳥翔、決意の真っ向勝負【Mリーグ2021-22ファイナル観戦記4/19】担当記者:ZERO/沖中祐也

白鳥は最終戦までに大きなリードを保っていたにも関わらず、ABEMASの大将である多井にまくられ、優勝をかっさらわれてしまった。
この戦いがあったから、優勝するためのギアチェンジがうまくいったとも語る。

6/8を争うレギュラーシーズン・4/6を争うセミファイナルと
1/4の優勝を争うファイナルを同じように戦うのは戦略としておかしい。

ラス回避していては他チームに優勝されてしまうだけなので、どこかでリスクを負ってトップをもぎとらなくてはいけない。

4年連続のファイナル出場となるABEMASだが、これまでに一度も優勝できなかった。
特に印象的なのが昨年だ。

ファイナルの最終盤、総大将の多井が5連闘するも風林火山に差し切られ、負けが決まった直後、多井は人目もはばからずに泣いた。
「ごめん…」
絞り出すように発した一言に、仲間は言葉を失ったのだ。

とあるインタビューにて、白鳥は語る。

最後、タカハルが戻ってきて「ごめん……」って泣いたんです。麻雀はゲーム的にどんなに強い人でも必ず勝てるわけではないので、僕はタカハルがもし負けても「しょうがない」という気持ちだったのに、タカハルは「ここで勝たないと死ぬ」くらいの覚悟を持って闘ってたんだなと……そんな、自分との意識の差が凄く悔しかったですね。

今までここまで強く思ったことはなかったのに「絶対にこの4人で優勝したい」って思うようになりました。
ABEMAS全員集合インタビュー後編より)

話は逸れたが、白鳥は【6ピン】を押した。
ライバルの茅森のリーチだからこそ、戦う価値はある。

多井さんに頼りきりになりたくない。
絶対4人で優勝する。
リスクを負ってアガリをもぎ取る場所はここだ!

そんな意思を感じる【6ピン】プッシュだった。
結果はすぐに出た。

【3ソウ】をツモって10002000のアガリ。
この時、茅森の待ち(【1ソウ】【4ソウ】)は山に4枚残っていたのでツモられていた可能性がかなり高い。

アガった牌を落とす白鳥の後ろで、優勝シャーレが眩しく輝いている。
カン【2ピン】外しからの【6ピン】プッシュが今季にかける思いの垣間見えた、本日の焦点の一局である。

その後、白鳥は大空を自由に舞った。
次局さらに5200をアガったあと、東4局

【7マン】をツモってテンパイ。【2マン】とドラの【3ソウ】のシャンポンに受けるか、ペン【3マン】に受けるか。

巡目が早かったらシャンポンに受けるのがセオリーだ。

このままでも悪い待ちではないし、【2ソウ】【5ソウ】チー→打【4ソウ】としての【2ソウ】【5ソウ】待ちが盲点になる。
しかし、中盤に入ったこの場面において、白鳥は【2マン】を切ってペン【3マン】に受けた。
変化よりも瞬間的な待ちの強さをとったのだ。
(ドラから離れるほうが待ちとしては強くなる)

堀からすぐに8000。
55400点になる。

このまま逃げ切るかと思われたが、2着目の茅森がラス前の親で4000オールをツモリ、追いすがってくる。
こうした状況で迎えたオーラス、白鳥が妙な場面で考え込んだ。

アガればトップの【3マン】【6マン】のテンパイを入れている場面で、リーチをかけている親・寿人の【5ソウ】に手が止まったのだ。

白鳥はポンした。

普通にスルーするとツモ番は2回、ポンをするとツモ番は1回になる。
ツモ番を減らしたほうが、危険牌を切らずに形式テンパイ率を取ることができる。

むろん、アガればトップで終局するし、切った【7ピン】も決して完全に安全ではない。
(678の三色に放銃することもある)
それでもここで形式テンパイを重視した理由は、茅森との点差である。

現在9300点差だが、このまま次局に入るとリーチ棒と1本場で茅森のトップはマンガン出アガリ条件(同点)となる。

しかし、形式テンパイを取ることにより…

マンツモで届かなくなる。
なんと狡猾なポンだろうか。

一本場、茅森の手牌。

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