タカハルの落涙から一年
今年は4人で勝つ!
白鳥翔、決意の真っ向勝負
文・ZERO/沖中祐也【火曜担当ライター】2022年4月19日
取りこぼせない半荘
「6000オール」
開局早々、親ッパネをツモった白鳥だったが…
素直に喜んでいる感じではなかった。
テンパイしたのは1巡前。
切る牌は以外にないが、白鳥はリーチを打つか一瞬考えた。
上家と下家がソウズをバラ切りしており、自身が2巡目にを切っていることからも待ちのは絶好だ。この超がつくチャンス手を12000の出アガリで済ませていいものか…。
ただ同時にアガリ逃しも激痛となる。
10巡目と微妙に深くなっていたこともあり、白鳥はダマテンに構えた。その結果、すぐにツモって6000オールとなったというわけ。
6000オールは十分すぎる加点だが、東1局の6000オールは全くもってセイフティリードとはいえない。高打点が飛び交うMリーグならなおさらである。
リーチを打っていれば8000オールだったことを考えると、最良の結果に対しても一抹の不安を感じずにはいられなかったか。
ABEMASは崖っぷちに立たされていた。
あと10戦もあるから先は長いように感じるが、2チームをかわして優勝するのはそんなに簡単なミッションではない。ここでラスを引くようものなら、かなり苦しくなる。
その上で
半分近くのトップが必要なのだ。
取れそうなトップは絶対に取りこぼしてはいけない。
6000オールから始まったこの半荘、そういう意味では取りこぼせない半荘となった。
白鳥の長い戦いの幕開けである。
東1局1本場。
白鳥が決定打となりうる高め三色のリーチを打つも…
直後に追っかけてきた茅森が暗槓からのリンシャンで30006000のツモ。
はやくも3600点差となり、6000オール貯金がほぼ切り崩されてしまった。
焦点の一局
流局を挟んで迎えた東2局1本場。
白鳥はここからを切った。
牌図を見てみよう。
ドラドラのチャンス手だがが2枚切られている。
そして3人ともを切っていることから、カンが良さそうに見える。
しかし、白鳥は見た目以上にが良いわけではないと読み、を切ったのだ。
「特に寿人さん(上家)のトイツ落とし後の打なので、関連牌の可能性が高く、がトイツ以上であるケースが多い。また下家や対面の打も他の牌が切られた後なので決してを持っていないとは言い切れないと感じました」
相手の手牌を開けてみよう。
なんと、この時点で良さげに見えたは全員に持たれていて、空だった。
白鳥の読みが冴えわたる。
こうして
を鳴いてカンのテンパイを組むことに成功。
「このあとにドラのをツモってカン待ちになるのが最高形です。はドラそばで自信がなかったけど、は手応えがあったので。」
数巡後、カンでテンパイを維持していた白鳥が顔をしかめる。
点棒的にライバルとなった対面の茅森からリーチが入ったのだ。
一発でつかんだ無筋のを押せるだろうか。
終盤、自信のないカン待ち、安全牌は豊富にある…オリる理由はたくさん挙げることができる。
この時、白鳥の脳裏にはいろんな想いが駆け巡っていた。
まずはつい2日前に行われた、麻雀日本シリーズ。