納得いかない取引に
全面降伏しました
電気料金回収ビジネスの会社と長期間トラブっていたんですが、このたび全面的に私が譲歩して、完全な負け試合になってしまいました。
トラブルの発端は、かつて不動産屋さんが代行で回収していたビル内店舗の電気代を、ここのところ成長著しい専門業者にビルオーナーが委託したこと。
不動産屋さんに払っていた手数料が無しになり、さらにテナントが電気代未払いのまま夜逃げすると、代行業者が代わりに払ってくれる。
つまり保険にもなっている。
しかも、オーナーの負担はいっさい無しという、魅力的な提案です。
ビジネスモデルのキモはここですが、では代行手数料と保険料はいったい誰が負担するのか。
お気づきのように、各店舗から徴収するんです。
でも、そんなことを店舗のオーナーに伝えたら誰も同意しませんよね。
受益者負担の原則から言っても、代行手数料と保険料を負担するのはオーナーです。
実際にどうしてるかというと、店舗の経営者には何も知らせずに、代行会社とビルオーナーが契約を交わしていたんです。
で、電気代請求書に分かりにくいな項目を作って、手数料と保険料を上乗せして請求・徴収していたんです。
私は長年これに気付かなかったんですが、ある年の夏に二十五万円という信じられないような高額の請求が来ました。
びっくりして詳しくチェックして初めて不審な項目があることが分かったんです。
たまたまその年が異様に暑くて、使用料が増えたのか、もしくはクーラーの使い方が悪い、故障してたなんてのも考えらます。
めったに気づかれないから、法律的にグレーなやり方でも、これまで通じたんでしょう。
法律の素人の私がグレーだと断言していいのか疑問があるかもしれませんが、心情的には詐欺のように感じてます。
「違法に徴収した手数料・保険料を返してください」
「違法ではありません、ちゃんと契約書があります」
「誰の」
「弊社とオーナー様です」
これアカンでしょ。
赤の他人がどうしの契約に、私が何で従わなくてはいけないのか。
納得のいかない私の対抗策は、それまでに無断で徴収された金額に等しい電気代を払わないこと。
こちらの実力行使にたいして、担当者からの電話での請求は厳しいものでした。
「払っていただかないと電気を止めますよ」
それも言っちゃイカンでしょ。止めたらもっとダメです。
おそらく回収の担当者は、正当な請求だと教えられてるんでしょうね。
私は相手の顧問弁護士を寄越すように言ったんですが、それはできないとのこと。
おそらく、案件に正義があるか、顧問料は見合っているかのバランスで、弁護士が嫌がっているんでしょう。
それでも払わなかったら、事態は意外な展開になりました。
私に電話が来なくなったと思ってたら、なんとオーナーに立て替え払いをするように請求したんです。
うっそーん。
私が夜逃げしたら、代行会社がオーナーに払う契約の逆じゃん。
そのために保険料を取っているんでしょうに。
オーナーは年配者なので、もしかしたら十分な説明を受けないまま契約したのかもしれません。
さらに事態は悪化します。
オーナーが怒って、今度は以前電気代の回収をしていた、不動産屋さんが払えと要求したんです。
もちろん不動産屋さんが納得するワケがありません。
仕事を横取りされて、私と同じように何の関係もない契約に基づく支払いを迫られたんです。
すみませんね、私のせいでグチャグチャになって。
いちおうその契約書は確認させて貰ったんですが、不動産屋さんも私も何の関係もありません。
でも長年お世話になっている不動産屋さんにいつまでも迷惑をかけられないので、結局私が泣き寝入りすることにしました。
以前私が税務署に強襲された時、不動産屋さんは親身になって相談に乗ってくれました。
「無理なお願いかもしれませんが、税額がもし高額だと手持ち資金に不安があります。店舗の更新手数料は保証金から充当して貰えませんか」
ありがたいことに、協力してくれたんです。
あ、みなさんにもお奨めなんですが、住居の賃貸契約更新手数料自体を免除して貰ってる人もたくさんいますよ。
家賃本体の値下げには応じて貰えなくても頼んでみる価値はあると思います。
もうひとつ私が負けた原因があります。
「電気代を払わないなら、家賃を値上げする」
そこリンクさせたらマズいでしょ、とも思うんですが、リンクさせなければ正当な主張です。
この件では私は違法行為を受け入れて、今後も契約にない代金を払い続けることになりますが、特に怒っているワケではありません。
私も多少の正義や自分なりの価値観を持っていますが、一方アメリカ的な実用主義(プラグマティズム)も気にいってます。
有名なのは司法取引ですよね。
犯人が捜査に協力すれば刑罰が軽くなるというアレです。
実は前回の更新で家賃の値下げに応じて貰ってる恩義もあります。