Mリーグの魔物がもたらした萩原聖人の変化【熱論!Mリーグ】

熱論!Mリーグ【Tue】

Mリーグの

魔物がもたらした

萩原聖人の変化

文・梶谷悠介【遊軍ライター】2018年10月23日

10/23 Mリーグは14日目を迎えた。
第1試合の結果は以下の通り。
1位:近藤(フェニックス)+54.0
2位:石橋(Pirates)+13.2
3位:勝又(風林火山)▲15.2
4位:瀬戸熊(雷電)▲52.0
そして第2試合が始まる頃、私はTEAM雷電の控え室にいた。
最高位戦に入会して1年そこそこの私が、この観戦記を書かせて頂けるのがご縁でお邪魔することになったのである。
入室してみると瀬戸熊プロ(以下p)や黒沢pといった選手を始め関係者の方々も錚々たる顔ぶれ。この状況で萎縮するなという方が無理な話だが、ここに来た以上は雷電を応援するしかない。私はモニターを見つめ、何か観戦記のネタになることを見つけようと必死になった。
第2試合のTEAM雷電出場選手は萩原pだ。
起家 勝又健志(風林火山)個人15位 ▲39.7
南家 萩原聖人(雷電) 個人20位 ▲96.0
西家 朝倉康心(Pirates)個人9位 +11.1
北家 茅森早香(フェニックス)個人18位 ▲84.7
東初は流局して東2局1本場、茅森pに先制テンパイが入る。
カンチャンの役なしドラなしテンパイ。供託1本がありリーチにいってもおかしくはないが、ドラが使いやすいということもあって押し返されたときのリスクが大きいとの判断なのだろう、茅森pはダマテンを選択した。
その後、親の萩原pがをチー 打でタンヤオドラ1のイーシャンテン。
私はこれを見て、少し前から疑問に思っていた点をつい口に出してしまった。
萩原pはMリーグ開幕当初から比べて鳴きを意識するようになったのではないか?』
開幕時から数半荘はとにかく腰の重いイメージだったが、最近は副露することが珍しくなくなっているように感じる。これに対して萩原pに親しい関係者の方から次のような返答があった。
「萩原pはもしスタイルを変えたとしても、それを口にすることはプロとしてよくないと考えているんだよ」
なるほど。そうかもしれない。プロは口ではなくプレーでファンを惹きつけるものだ。考えてみたら芸能生活の長い萩原pにとって、プロはファンあってのものだという意識はMリーガー中最も高いだろう。
そしてその高いプロ意識は周りの打ち筋にも影響することになる。
勝又pがの両面で仕掛けて イーシャンテンとすると
茅森pがを引いて撤退。萩原pが仕掛けたのである。ドラが見えていないことから高打点の可能性が高いと読んだのだろう。
もしも萩原pがプレースタイルを変えると口にしていたら…をカンチャンで鳴いたくらいでは引いてくれなかったかもしれない。腰の重いイメージが残っていたからこそ、動いたときの恐ろしさをイメージしてしまった。
続いて朝倉pもテンパイを入れるが
やはり萩原pに危険なを引いてオリてしまった。
この局は勝又p、萩原pともにイーシャンテン止まりで流局、なんとテンパイ者2人がノーテンに対してオリて全員ノーテンという結果となった萩原pの門前へのこだわりとプロ意識が1500点の失点をかき消してしまったのである。
東4局0本場
萩原p、を鳴いてのシャンポンテンパイに取る。
しかし勝又p待ちのリーチ
これに粘って形式テンパイをとった朝倉pがで放銃、満貫の打ち込みとなった。が3枚ずつ見えているダブルワンチャンス。勝又pはを手出ししているとはいえ、そこが面子になっている可能性も十分にある。しかしいかに結果的なミスで もメンタルに影響してもおかしくない。
続く南1局、朝倉p打として2シャンテン戻し
そこにドラのを引いてタンヤオ三色赤ドラ2のダマハネをテンパイする。
そういえば天鳳位が満貫放銃くらいで崩れるわけがなかった。
萩原pここからとスライドの打
を切っているためフリテンを嫌って筒子面子を固定したのだと思われるが、
この後のドラ引きやツモでもフリテン三面張に構えられることから打がマジョリティではないだろうか。
結果的にこれが 裏目の引きスライドで打とし、朝倉pにハネマンの放銃となってしまった。
対照的な両者の表情
南2局0本場
親の萩原pにチャンス手が入る
1枚目のをスルーし、重ねたドラのをポン打
しかしもう1枚のはトップ目の勝又pの手にある。初牌のを掴んでいることから絶対に出ないだろうと思われた。
おそらく唯一のが出る形、単騎テンパイを取ったことから萩原pはをポン
そこに待ったをかけたのはやはり朝倉p
切りリーチといく。萩原pは恐いが、萩原pが捨てているを誰も合わせて捨てていないのでまだ山にあるとの読みが働いた。狙うはトップ。
これが読み通りツモで一気にトップ目へ。これを見ていた瀬戸熊pも「よくリーチいったね」と関心した様子だった。確かに萩原pの現物待ちでダマにしてもおかしくない。読みを信じトップを取りにいく、これもプロの姿だ。
南3局で勝又pにチートイを直撃されるも、オーラスはトップ目勝又pと2着目朝倉pの差が1300ともつれた。
そして萩原p、トップはハネマンツモ、2着はマンガン直撃条件、ラス目との差は4900である。
この手から直後に打たれたを連続してスルーする。
現実的なことを考えればここからをスルーしてハネマンに成就する可能性は限りなく薄い。逆にアガれなくなるとラス目の茅森pは自由に手を作って浮上しやすくなる。故に鳴いて3着を確保しにいっても仕方のない局面だが、萩原pはそれを拒否した。口には出さないが、3着を確保する麻雀を観て面白いですか?と視聴者に投げかけているように見えた。

プロとしての矜持

もしも朝倉pが萩原pの立場だったら、きっとをポンしていただろう。結果にこだわること、それもプロとしての姿なのである。だが現実は残酷だ。
勝又pがのシャンポンテンパイを入れるが
茅森pが追いつき
勝又pも必死に押したがめくりあいを制した茅森pが3着に浮上する。
続くオーラス1本場、萩原pはまだハネマンツモのトップを諦めていない。としてメンホン三暗刻のイーシャンテンに構えた。
しかし朝倉pに早いテンパイが入る。リーチ。
リーチ棒が出たことにより満貫ツモでも2着となるためポンしてテンパイを入れるが
朝倉pが茅森pからで出アガって勝負あり。
朝倉pは嬉しい初トップ。トップ2着が1600差、3着4着が200差という僅差での決着となった。
これでTEAM雷電は2連勝のあと2連ラス。
「うちらしいジェットコースターのような麻雀だね」
とは瀬戸熊p。
現実的に結果を求めるのもいい、だがオーラス、萩原pのハネマンツモが見たくなったのも事実だ。雷電の皆様にお礼を言い、悔しさをにじませる萩原pと入れ替わりで控え室を後にする。
TEAM雷電、次も面白い麻雀を期待してもいいですか?

梶谷悠介

最高位戦日本プ麻雀協会所属。HNツケマイとして天鳳やブログで一時話題となる。去年パパと麻雀プロに同時なった男。最高位とMリーガーを目指して連続昇級中。

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