二階堂亜樹、メンタル崩壊…舞姫を狂わせた近藤誠一の禁じ手【熱論!Mリーグ】

熱論!Mリーグ【Thu】

二階堂亜樹、メンタル崩壊…

舞姫を狂わせた近藤誠一の禁じ手

文・ゆうせー【木曜担当ライター】2018年10月11日

 

10月半ば。衣替えもすっかり終わり、街行く人は秋の装い。

日が暮れるのもすっかり早くなった。あと2か月もしたら、
「こんな寒い日は早く家に帰ってMリーグ見ようっと」
と早歩きで家路につく、そんな季節になるのだろう。
今日、半袖の真新しいユニフォームを着て、Mリーグデビュー戦を迎える選手がいる。
最高位戦日本プロ麻雀協会 近藤誠一。
たっぷりと懐深く構える手組と、ナタのような切れ味の鋭い攻撃が魅力の雀士。
私はワクワクしながらパソコンの前で対局が始まるのを待っていた
解説 白鳥翔 実況 小林未沙

1戦目

東3局

近藤は打とする。
シャンポン待ちのときにが強くなることが狙い。
ピンズが伸びたときにはピンフを狙うのだろうか…と思って見ていると、
ここは打。その理由は…
なるほど、ピンフがあろうとなかろうと、どのみち門前で両面テンパイが入ればリーチをする。
上の図のように両面のどこかが縦に重なったときに、のポンテンが取れるのを優先したのか。
近藤にとってこの手は決め手ではなく、仕掛けも視野に入れながら、アガって親権をキープするための手なのだろう。
結局、門前テンパイが入り、リーチ。テンパイした村上が放銃。狙い通りに近藤が連荘。

なんと悲しそうな顔だこと…。

東3局1本場

近藤の河は読みにくい。

1つには、このように両面先切りからの浮かせ打ちをすることがよくある。

とあるところから、を1枚外してを浮かせる。

1牌の後先だが、きちんと河を見ているものは、

よりが後で手出しだな、マンズがあるならのまわりかな」

と読みを外されてしまう。なんともやりにくい。

その影響があったのだろうか…

村上はここから即リーチを打つ。
赤があるから愚形でも積極的にリーチ、というふうにもみえるが、近藤の切り順による「が良い」という読みがリーチを後押ししたのかもしれない。

「踏み込んでいるときが一番集中出来ているとき」

とあるインタビューで近藤はこう語っていた。
村上のリーチを受けて、一発でつかんだドラのを打って行く。
現物は1枚。押し自体はよくある判断かもしれないが、その打牌には「ここが勝負どころだ」という気合いが込められていたように感じた。
今通ったを合わせてイーシャンテン。
近藤が追いついた!!
そして…

なんと村上、一発でつかんで12300の放銃。

さっき見たやん…この顔…。

東3局3本場

近藤は自らの雀風をこう語っていた。

「速度を落とし、打点を上げる」

を引くとタンヤオが消えてしまう。三色はもちろんのこと、タンヤオまでも貪欲に狙いに行く打点重視の一打。
ここでまたもや村上からリーチがかかる。さすがリーチ超人だ。
村上の河
(リーチ)
これに対して近藤は…

ビシッ!

画像の、次につかんだと押していく。
…ねぇ!超人!!起きて!ボコボコにされるよ!

ところが、次に持ってきたで近藤はオリを選択。

数字の2の牌くらいは行くけれど、真ん中のドラのの3枚浮いた状態から押すのは無謀、という判断か。

この局は村上が満貫のツモアガリとなった。

東4局1本場&南1局

繰り返すが、近藤の河は読みにくい。
この。なんの変哲もないどころか、ともすればがロスになる、ちょっと基本からは外れた一打だ。
その後、
近藤は、このように手を進めていく。
私は思った。

「これ撒き餌なんじゃないか…?」

どのみち愚形が多く、かなり都合のいいツモをしないとアガれない手だ。
こういうときに、そこまで損をしない範囲で「数牌のバラ切り」をするのだ。
「読みにくい分かりにくい河」の出現頻度をあげることによって、相手に手を読ませないようにしているのではないだろうか。
続く南1局の近藤の手牌進行と河を見てみよう。
第1打
第2打
第3打
第4打
近藤の河
どうだろうか?普段比較的ストレートに組んでくる人がこの河だったら、
より字牌があとってヘンだな…」
という印象を持たれてしまうだろう。このMリーグのメンツならそのレベルの読み性能はみな持ち合わせている。
ただ、この河は、
前局の河
と比べてもさほど違和感はない。近藤は、相手に手を読ませないことによって、本手の成就率を上げているのではなかろうか。
その後、をポンして
ホンイツ・オブ・トイトイのテンパイ。
さすがにこのは止まらないだろう。近藤ダメ押しの12000のアガリ。

南3局

画像では分かりにくいが、近藤は中盤にさしかかったところで、でチー。
すると…

で満貫テンパイ。マジかよ…

さらに、

どんだけドラ引くねん!
近藤は打単騎に待ち変え。
皮肉にも、ここで2着目に浮上した村上にテンパイが入る。
は3枚切れだが、は場に0。
悩む超人。を切るのか…リーチはするのか…
出した答えは…切りダマ。
近藤がドラなしの両面チーをするはずがない。手に(近藤のテンパイ打牌)が残っていたことからも、ドラのがトイツ以上なのは間違いない。
ということは待ちも薄く、近藤に放銃すると2着も危ない、という判断だろう。
ワンチャンスのはギリギリの押し、テンパイをとってツモアガリの可能性を残し、ド級の危険牌はオリる算段か。
次巡…
これは近藤のアタリ牌だ…

おお!

リーチ超人は、リーチ判断も超人だった。
この我慢が効いて、村上は2着でこの半荘を終えることが出来た。
震撼すべき、近藤の半荘。

【1回戦結果】

1着 セガサミーフェニックス・近藤誠一+75.5

2着 赤坂ドリブンズ・村上淳+5.9

3着 EX風林火山・勝又健志(連盟)▲28.6

4着 TEAM雷電・黒沢咲(連盟)▲52.8

1、2戦目を通して、たった1度だけ近藤の打牌で「ん?」と思ったことがあった。

この打だ。

を縦に引いたときに、ピンズの三面張に組み直せる方が手牌として安定するのではないか。ピンズ五面張になるツモもある。
画像では河が見にくいが、は対面の現物であり、上家にも通りそうなので近藤は安全度を重視して残したのだろうが、ここは素直に打が良いと思う。
やはり、どうしても観戦記が長くなってしまうのは性分なのだろうか。
2戦目の焦点の1局を紹介する前に、皆様疲れていることと思うので、ここで2戦目の選手紹介も兼ねて(写真下部の4選手です)Mリーグファンの清涼剤、二階堂亜樹選手のスクリーンショットをどうぞ。
東1局3000-6000をツモったときのお顔↓
可愛いすぎる…
このあとまだ何枚も出てくるので、ぜひ最後までお付き合いください。
では、

第2戦目南3局

ここまでは、東場に50000点台まで点棒を稼いだ二階堂を、

渾身のメンタンピン即ツモ三色のハネ満を上がった近藤が追う展開

 

南3局親番近藤の配牌

悪い…悪すぎる。
思わずぐちゃぐちゃっと壊したくなるくらいの配牌だが、近藤は打とし、ソウズを一気に払っていく。
その後4巡目
こうなったらマンズのホンイツか…
…と、思いきや近藤の選択は打。なんと国士へ向かう。
一方、トップ目の二階堂の手牌、
さすがに格差がありすぎる。
さて、何を切ってもアガれそうだが、どうする…
二階堂の選択は、打。近藤はピンズのホンイツ模様。マンズとソウズにアガリを求める。
近藤の河
…ん?まてよ??近藤の手牌、ピンズ全然無かったんじゃ???
次巡、二階堂が引いたのは、なんと
恥ずかしそうにを見つめる二階堂。
近藤がマンズのホンイツに行っていた場合、近藤の河は、
となっていた。それならば二階堂はピンズを残したであろう。
近藤の国士狙いが、丁寧に場況に合わせに行った二階堂の歯車を狂わせた。
その間隙を縫って、
たろうが大物手を作っていた。
ピンズが先に埋まれば、最低ハネ満は確定する手だ。
そんな中、近藤の手は…
…ん?4トイツになった…
イーシャンテン…?!
うげ!混老チートイテンパイ!!!とんでもないツモを掘り当てた。
あと1枚引けばテンパイの二階堂。しかし、あざ笑うかのようにツモるのはピンズばかり。
5巡目の分岐点でピンズを残せていたら…倍満のアガリ牌になっていたはずのまで引いてしまう。
…こんなかわいい36歳この世にいます!!??
ちなみに私も36歳ですが、全身くまなくボロボロのオッサンです。神様は不公平だわ。
14巡目、たろうにもついにテンパイが入る。
待ちのリーチ。
近藤は単騎待ちテンパイのまま。
はたろうの現物になっている。
さらに、二階堂が追いつく。
超危険牌のを押して勝負。待ち。
どれだ…どれが先にいる…。
そして、我慢に我慢を重ねていた萩原のもとに、
がやってくる。
しかし、萩原はをとめて今通ったばかりのを切る。
対門の近藤は、ツモ番でを空切りしている。それでも、はるか前に通っていたよりは、今通ったの方が安全だと判断したのだろう。
決着がつくときが来た。
二階堂が切ったに、近藤の「ロン」の声がかかる。
思わずこの表情。

この混老チートイを二階堂から直撃した近藤が1、 2回戦と連勝。

『連覇野郎』の異名は伊達ではなかった。

この局我慢した萩原がオーラスに6000オールをツモって2着。二階堂は3着まで落ちてしまった。たろうは最後に満貫をアガるも4着。
さて、ここまで近藤が大爆発したのには理由がある。
今日の解説、Mリーグ個人戦トップをひた走る白鳥が1回戦の初めにこう言っていた。
『近藤さんは、基本から外したなぁという手を打つ』
近藤ファンの私はモニターの前で思わずイラッとしたが、この声がもしかして対局室まで届いたのではないか。
そんな白鳥も、番組後半ではこう話していた。
『基本を外すの、禁止にしましょう』

ゆうせー

京都大学法学部卒の現役塾講師でありながら雀荘の店員もこなし、麻雀強者が最も集まる人気オンライン対戦麻雀「天鳳」でも全国ランキング1位(鳳南2000戦安定段位ランキング2018年5月現在)、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著書であり、Mリーガー朝倉康心プロの実兄。