狙うは白鳥翔の首ひとつ! 渋谷ABEMAS包囲網を敷け!【熱論!Mリーグ】

熱論!Mリーグ【Mon】

狙うは白鳥翔の首ひとつ!

渋谷ABEMAS包囲網を敷け!

文・花崎圭司【月曜担当ライター】2018年10月15日

MリーグWeek3マンデー。第9節が行われた。 見終わった直後、いや見ている途中からぐったりと疲労した。 試合時間は平均より10分長いぐらいだろう。でもそれ以上に疲れた。それは試合が拮抗していた、白熱したからというのもあるだろうが、それ以上に感じたことがある。感覚的な話だ。 牌を自摸(つも)り、場に打つ。この動作を摸打(もうだ)というが、このリズムが自分にあっていなかったのだろう。そんなことはお前が勝手に感じているだけだろう、と言われればその通りなのだが、盲牌が長いなとか打牌が荒いなとか、どうしても気になってしまう。 Mリーグにおいて長考はイエローカードの対象となる。しかし時間までは明記されていない。例えば「上家が切ってから60秒以内に摸打できなければイエローカードとする」という風に明文化した方がいいかと思う。イエローカード2枚でレッドカードとなるが、1日だけの累積なので、第1回戦でイエローをもらったため、連闘するつもりだったが第2回戦は選手を変える、ということも出てくるだろう ルールについての話になってしまったが、話を第9節に戻そう。 出場チームは、1位の渋谷ABEMAS、2位赤坂ドリブンズ、3位U-NEXTパイレーツ、7位KONAMI麻雀格闘倶楽部の戦いとなった。 一番試合数をこなしているのが、パイレーツと麻雀格闘倶楽部の12試合。Mリーグは全80試合なのでまだまだ序盤戦、とはいうものの、成績上位にいた方が選択肢が多く、やりやすくなる。ましてや1位のABEMASと2位のドリブンズですでに264.6ptの差がある。 Mリーグは順位点で1位と4位で80ptの差がつく。1位と2位でも40ptの差がある。80試合のうち各チームと70回ずつ顔を合わせるので、確かにまだ無理をしなくてもいいが、麻雀は1対1の戦いではない。4チームの戦いだ。終盤になってくると、それぞれのチームの思惑が出てくる。 このままABEMASが走るとかなり厄介になってくるので、今から“ABEMAS包囲網”を作る、マンマークをきつめにする戦略をとった方がいいのではと思う。これは「私がMリーグの監督だったら」に類する、身勝手な発言だということを承知の上で、やはりABEMASには厳しめのマークをつけたい。 第9節の1回戦は、最下位だった麻雀格闘倶楽部が90.6ptと大きなトップでひとり浮き。他3チームはマイナスで順位が2位ABEMAS、3位パイレーツ、4位ドリブンズとなる。ABEMASは2位ドリブンズより上なので許容範囲の展開、ドリブンズは苦しい形で終わる。 そして2回戦。 東家・白鳥翔(ABEMAS)、南家・石橋伸洋(パイレーツ) 西家・園田賢(ドリブンズ)、北家・前原雄大麻雀格闘倶楽部) の戦いとなる。 ABEMAS包囲網を作れといったが、ABEMAS自身は「勝ち続ける」「ラスをひいてはいけない」というプレッシャーが出てくる。1回戦の松本吉弘、2回戦の白鳥翔、どちらもその気持ちはあっただろう。 この戦い、白鳥は東4局3本場まで放銃もしていないがアガリもなく最下位に沈み、我慢の時間帯が続く。そして東4局4本場でやっと初アガリ。試合開始から1時間たっていた。かなり精神的に疲弊したのではないだろうか。ちなみに東4局3本場でトイレ休憩が取られた。 思考を巡らすためには水分は大切だし、トイレも行きたくなる。ここは変に時間にとらわれず、いい麻雀を打つためにも遠慮なくトイレにいっていただきたいと真面目に思う。

そして南3局。親は園田。ドラ トップは前原の38700点、2位は園田の24500点、3位は石橋の19200点、4位は白鳥の17600点。ここでアガればオーラス南4局でトップを狙えるし、放銃すればトップどころが最下位になる状況だ。 アガりたいが、放銃はチームのためにもできない。

そんな4選手の心模様が現れる。Mリーグのここまでの試合で一番「捻りあい」が生まれた局ではないだろうか。

1巡目、白鳥がいきなりを鳴く。 後付け、“バック”だ。白鳥がこのような仕掛けをするのは珍しい。テレビのスイッチャーも予想していなかったのか追いつけないほどだ。白鳥の、1つでも順位を上げようとする強い気持ちを感じる。 もちそんそのことは他のプレイヤーも感じている。わずか1900点差しかない石橋は4巡目にをチー。 678の“鳴き三色”でアガリを目指す。

園田も簡単に親の座を奪われるわけにはいかない。7巡目をポンでタンヤオ狙い。スピード勝負の空中戦となる。 白鳥は下家の石橋の三色を警戒。を手牌から切らない。   石橋は9巡目に片アガリのテンパイを入れる。 終盤に入った13巡目、園田が待ちのテンパイを入れる。 白鳥の手牌は

 ポン ツモ

ここでを切り、ラス目だがオリる体勢を取る。 ――と思ったら、上家からが出てチー。打で粘る。 決してあきらめない。不格好といわれても、供託泥棒と揶揄されてもテンパイに向かう。 すると石橋が危険牌のをツモってきたため、撤退の選択をする。 次の園田も南をツモるが、こちらはをそのまま切り、白鳥がポン。を切って待ちとする。手牌は4枚だ。相手のパンチをギリギリで避けながら前進していく。 さらに白鳥、

 ポン チー ポン ツモここで危険牌のをツモる。打で2度目の撤退。 さらに撤退していたと思っていた石橋が復活のテンパイを入れ、負けじと粘る。 テンパイ料がそんなに大切なのか、という議論になるが、それで数知れず助けられたからこそ、粘るのだ。 前原も役なしだがテンパイを張り、虎視眈々と狙う。 そして最後の巡目。上家の前原から出たを白鳥がチー。3度目のテンパイを入れる。手牌はの2枚。 白鳥はを切る。それは園田のアタリ牌。12000点の放銃となる。 結果をみれば、これが最下位の決定打となる。まだ南4局があるから、そこで巻き返せばよかったのでは、という見方もある。 でも今できることを全力でやる。なんとか、なんとしても1000点をもぎ取って順位を上げる。勝ちへの強い“執念”を感じた。 第2回戦の結果は、園田が加点を重ねトップ。ドリブンズはABEMASとの差を120.7pt分、つめてきた。  ABEMASとドリブンズ、火曜もこの2チームが戦う。さらに差は縮むのか。 原稿を書いている時点で火曜の1回戦に出場するが分かっているのが、渋谷ABEMASはドラ1多井隆晴EX風林火山は復調した滝沢和典TEAM雷電はロダンの「考える人」のようなポーズが出たら本領発揮の瀬戸熊直樹。麻雀の違う一面を見せてくれるはずだ。 最後に追記として。 多井隆晴プロのような親しみのある解説、白鳥翔プロのようなフレッシュな解説(イーシャンテンを“テンパイの一歩前”というのが好きです)も好きですが、今回の勝又健志プロの「先生」といわれる、丁寧で、牌を切る理由を順序立てて説明する解説も好きです。解説するところの取捨選択がすばらしいのだと思います。解説も楽しみのひとつです。

さらにもうひとつ。 秋で寒くなり、ユニフォームが半袖は寒くないかなと思っていたら、渋谷ABEMASが長袖になっていました。個人的に欲しくなりました。今後、ユニフォームの衣替えも楽しみです。

花崎圭司(はなさきけいじ)

放送作家・小説家・シナリオライター。映画化になった二階堂亜樹の半生を描いた漫画「aki」(竹書房刊)の脚本を担当。
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