もしも麻雀がなかったら…一途な最速マーメイド 魚谷侑未の覚悟【熱論!Mリーグ】

熱論!Mリーグ【Thu】

もしも麻雀がなかったら…

一途な最速マーメイド

魚谷侑未の覚悟

文・ゆうせー【木曜担当ライター】2018年10月18日

『もし、麻雀に出会っていなかったら、どんな人生を送っていただろうか?』 ふと、頭をよぎることがある。 あのときの恋人と別れずに済んだ?もっといい会社に就職しているかも? そんなことを思う女々しい私と違って、本日2戦目の主役はこう答えた。

「麻雀がなかったら、何もない人間になっていたと思います」

解説 多井隆晴 実況 小林未沙

1戦目

東1局

萩原5巡目、ドラがアンコの手牌、

萩原の選択は打。 ピンズとオタ風の字牌が4トイツ。チートイツやホンイツも見たくなるが、そうするとが使えなくなってしまう。 タンヤオで、仕掛けてのを満貫を狙った一打だ。 そして、

 

上家の朝倉から狙い通りのが出る。

 

萩原「チー」 開幕当初は鳴きを使ってこないことでツイッター上で話題にもなっていた萩原。思い切って変えてきたのは顔のペイントだけではなかったか。 この仕掛けが、

 

お…

おお! 瞬く間に8000点のテンパイ。 そこに飛び込んだのは…

朝倉だった。この形からでは止まりようがない。萩原の手組と仕掛けが冴えた1局だった。 結局このまま朝倉はズルズルと点棒を減らし、萩原は柔軟に攻守を使い分けてトップ目でオーラスを迎えることに。

南4 局

親番の高宮、 4巡目でこの手格好。ドラがなので、役役赤ドラの親満コースまで見ることができる手だ。

 

朝倉からが出る。

 

なんと高宮このをスルー。 この厳しいメンツだからこそ、『1枚だけスルー作戦』をとったのではないだろうか。 を2鳴きすることになれば、 「まさかまで持っていることはないよな」 と他家が読むため、場にが打ち出されやすくなる。 から鳴いた場合にも先ほど鳴かれなかったは、たやすく切られる。 クールビューティな外見とは裏腹の、アツい作戦。 その後、

 

を鳴いて、テンパイが入る。 ここに追いついたのが近藤だった。

 

純チャン三色ドラの12000テンパイ。しかし高宮の河(↑画像左の河)はピンズがあまりにも高い。 どうする…

 

苦悩する近藤。

 

冷静に待つ高宮。 悩んだ末の近藤の答えは…

 

の勝負。 通った… 万が一、萩原からアガることが出来れば逆転トップだ。 しかし…

 

またもや近藤は、ピンズの無筋をつかんでしまう。

 

天を仰いだあと、

 

近藤はを切った。 が通ったからこそ、はもう打てないと判断したのだろう。 高宮のアタリ牌を止めて、テンパイを維持した素晴らしい判断だった。

南4局1本場

そのころ朝倉はキョドっていた。

…と思いきや、

突如、タンピン赤赤高め三色のダイナマイトリーチがかかる。 ここに、

 

すでにテンパイしていた萩原から追っかけリーチが入る。 朝倉に放銃しても萩原自身のトップは変わらないので、二軒リーチで高宮の親番を潰そうという判断だ。 これに対し高宮は、

 

無筋のをツモ切って応戦、勝負に出た。 高宮は、テンパイが入るまでは比較的固い打ち回しを見せるが、いざ迎撃態勢が整うと積極的に勝負する印象。3着目のここは押し切りたいところだ。 近藤にも同巡テンパイが入るが…

 

こちらは、中抜きしてベタオリ。萩原、朝倉のアガリが出れば自身は2着でゲームを終えることが出来る。実に冷静な判断。 結果は…

 

朝倉の倍満ツモアガリ。

 

そのとき、高宮の内に秘めたるベルセルクの心が、ほんの一瞬だけこぼれおちるのが見えた。

萩原が待望の初トップを飾った。

 

 

 

 

2戦目(どの選手が打っているかは、画像下部をご覧ください。)

東1局

開幕戦以来、久々に登場した魚谷の手牌、

 

魚谷の選択は…

 

シンプルに打以外にものシャンポンを引いてもテンパイする.。 打点のあるこの手、変にこねくり回すよりも現状の形で勝負するストレートな一打。 を引いたらタンヤオ移行も視野に入る。 下家佐々木の河が、 となっていることも後押ししたか。

 

巡目はかかったものの、を引き入れてテンパイしてリーチ。 このリーチは流局するのだが、道中に小林がを勝負したとき、

 

「お…来るんだ…」 という感じの表情をしていたのが印象的だった。 表情に気持ちがストレートに出るのが魚谷の魅力。どうやら久々の緊張はなさそうだ。

東2局

魚谷についた二つ名は『最速マーメイド』。 自身もインタビューで「鳴きが多いと思います。」と語る。

 

いかにも魚谷の得意そうな手牌。をポンしてアガリへ向かう。 そして、イーシャンテンになったとき、

 

このを選んだ速度もこれまた速かった。場を見てあらかじめどの両面を残すかを決めているので、打牌も迷うことが少ないのだろう。 少し迷うとキズになってしまうことも多い。素早い判断はさすが最速マーメイドだ。 しかし、魚谷は東4局の親番に、

 

この佐々木のメンタンピン一発ツモイーペーコーを親被りしてしまい、17700点のラス目に。 このままでは、三途の川のマーメイドになってしまう…

 

なんかスゴイ絵面だ…

南3局

一度1000-2000をツモアガり、ラス前の魚谷の手牌

 

どうする… 魚谷の選択は、

 

。手役に絡まないペンチャンを外すことで、ホンイツ、七対子、メンツ手、見える全ての手役の可能性を残す一打。 こうしておくと…

 

このように、次の有効牌を引いた時に、スムーズにを切ることが出来る。 じつに柔らかい選択だ。

 

このツモで、ホンイツと七対子の二つに絞る。 そして…

 

なんと、場に2枚切れた瞬間にドラが重なった。

 

悩む魚谷。どうする…

 

出した答えは、打。この一打だけを見ると、上家(↑画像左の河)のを合わせ打ちしただけにも見えるが…

 

次巡の打までがワンセット。 場にが薄いので、待ちを嫌ったように見せたのだろう。このあとすんなりテンパイをしてでも引いてこようものなら、は絶好の待ちになる。 待ちでのフィニッシュに備えた選択だ。 結果は…

 

自分でツモっちゃいましたー!!! と、思わずモニターの前の私は叫んでしまった。序盤から素晴らしい選択の連続で、値千金のハネマンツモ。トップ目でオーラスを迎えることに。

南4局1本場

チームとしても個人としても、なんとしてもトップが欲しい佐々木。

アガリトップのここは、ポン、チーと前に出る。

 

その佐々木が下家にいる魚谷、ここで手が止まる。

 

佐々木の河

場にが4枚切れではあるが、

イーシャンテンはキープしたい… 魚谷の選択は…

 

のリャンシャンテン戻し。

イーシャンテンをキープする打は佐々木に鳴かれる可能性が高い。

を打たないためには、

ソウズの部分を活かしたほうが良いので、

佐々木に鳴かれにくいを払っていく。 理屈ではわかっていても、なかなか選べない勇気ある一打だ。

 

その勇気に牌が応えた。

 

を使い切って、絶好のテンパイでリーチ。一方、佐々木はなかなかテンパイすることが出来ない。 ここに、

 

三色でテンパイした萩原が勝負を挑んでくるも、結果は魚谷と萩原の2軒テンパイで流局。 アガれなかったものの、佐々木と2300点差で次の局を迎えることが出来たので、魚谷的にもオールオーケーといったところだろう。 続く2本場は小林が佐々木から満貫のアガリ。魚谷はトップでこの半荘を終えることが出来た。

 

このまぶしい笑顔に胸を焦がして、ますます魚谷を応援したくなったのは、私だけではあるまい。

 

 

さて、実は私と魚谷は長い付き合いの友人なのだが、人一倍負けん気の強い彼女は きっと「女流初のトップ」には全くこだわっていなかったと思う。 だから私は、この場を借りて、こう声をかけたい。

『ゆーみん、Mリーグ初トップおめでとう。』

2018年 10月19日 ゆうせー

ゆうせー

京都大学法学部卒の現役塾講師でありながら雀荘の店員もこなし、麻雀強者が最も集まる人気オンライン対戦麻雀「天鳳」でも全国ランキング1位(鳳南2000戦安定段位ランキング2018年5月現在)、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著書であり、Mリーガー朝倉康心プロの実兄。