Mリーグの船出 21人のプロ雀士に求められるもの【熱論!Mリーグ】

熱論!Mリーグ【Mon】

「Mリーグの船出

21人のプロ雀士に求められるもの」

文・花崎圭司【月曜担当ライター】

 

2018年10月1日、史上初の麻雀プロリーグ「Mリーグ」という船が“とりあえず”出航した。

“とりあえず”、といったのは、Mリーグというものがあまりに突然現れたからだ。今年7月17日Mリーグが発足。プロ麻雀チームが7つ結成され、ドラフトで3名ずつ選手をとり、10月1日Mリーグが開幕した。わずか77日の出来事である。もちろん下準備はしていたのであろうが、外から見ていると、本当に突然のことである。

突然と感じたのは麻雀の細則やリーグ戦のポイントのルールなどが開幕当日まで分からなかったことも大きい。そして個人タイトルやMVPがあるかどうかはまだ分かっていない。

でも“とりあえず”Mリーグが始まったのだ。始めることができたということ自体が、とても大きい。7つの企業が3人を「プロ麻雀選手」として契約した。正真正銘のプロである。

21人のMリーガーになにを求めるか? それは所属するチームによって方針はあると思う。麻雀が好きなMリーグ視聴者の方は、好きな選手がいれば、その人を応援するだろう。

でもMリーグは、“なんとなく”麻雀を知っている人のところまで麻雀を届けなければいけない。

そのためにはなにが必要なのか。

ひとりの「スーパー・スター」だ。

1人だけで十分だ。21人全員がスターにならなくていい。輝きを放つ人が1人ほしい。それは誰になるのか? それとも現れないのか?

その試金石となる開幕戦。戦う選手は小林剛(U-NEXTパイレーツ)、魚谷侑未(セガサミーフェニックス)、園田賢(赤坂ドリブンズ)、萩原聖人(TEAM RAIDEN)。4人それぞれのチームのユニフォームを着て登場した。

これまで公式戦といえばスーツでのぞむのが慣例だったが、Mリーグはユニフォームを採用した。プロ選手の服は広告の看板でもある。スーツを脱がせたというのは大きな1歩だ。

そしてもうひとつの1歩。Mリーグは、手牌も出る全自動卓で行われる。サイコロを振り、牌山から手牌を取っていくのがプロ団体のスタンダードだったが、全国の雀荘のスタンダードを取り入れた。「対局のスピード化」は麻雀の生中継にとって大きな命題のひとつだが、これも一段階進んだ。

⒞AbemaTV

こういうところでもMリーグの「麻雀改革」を垣間見ることができる。

ではその「麻雀改革」が選手の戦い方にどのような影響を及ぼしたのか?

まったく違和感なく、いつも通り闘牌をしているように見えた。視聴者としては、スピーディーになって見やすくなった。

かといって「とにかく急げ」といっているわけではない。

開幕戦の話に戻る。東場は20分で終わり南1局。ここで小林剛が力を発揮する。自分が先手をとったと思えば一気にたたみかける。6連続テンパイ、うち5回リーチをかける。気づけば持ち点7万7400点。2位の園田と5万6400点差をつける。南1局の小林の攻撃時間は35分と、小林らしい「支配力」を見せた。

Mリーグはパブリックビューイングが設けられている。応援チームごとにテーブルが分かれており、小林が所属するパイレーツを応援している席は、彼がアガるたびにハイタッチをしていた。

あとは小林は淡々と局を進め、ゲームセットさせればいい。野球で言えばセットアッパーが出てきたようなものだ。多少の失点は許す。実際園田が粘りのアガりを見せていたが、それによって局が進む方が都合がいい。

南3局。ドラは。小林はこの危険牌を鳴かれないように第1打で切る。そしてまだ前半の6巡目に小林はまたを持ってくる。そしてを切る。園田がロン、と発声し、小林は「おっと」という表情をする。

この戦いで表情を変えたのは唯一ここだけだ。園田の手は18000点。一気にトップになった。パブリックビューイングでは園田が所属するドリブンズの応援テーブルから大歓声が上がり、ハイタッチが行われる。

第1回戦の結果は赤坂ドリブンズ・園田賢がトップとなった。Mリーグのルールだと、トップと2位の差はとても大きい。園田は価値ある1勝。小林は悔いが残る切りとなった。

麻雀は、運が絡むゲームである。それを嫌う人もいるが、運の要素があるからドラマが“必ず”生まれる。今回も生まれた。

でも「ドラマ」だけではMリーグが船出した意味がない。この船にスーパー・スターが乗ってないといけないのだ。

パブリックビューイングが盛り上がっていたが、そこにいるのは麻雀がずっと好きな人ばかりだ。

半年後、パブリックビューイングにどのような人が来ているのだろうか? Mリーグを見て麻雀が好きになった人がどれぐらい来るだろうか?

その人々の顔を見れば、Mリーグにスーパー・スターが生まれたかどうか、分かるはずだ。

花崎圭司(はなさきけいじ)

放送作家・小説家・シナリオライター。映画化になった二階堂亜樹の半生を描いた漫画「aki」(竹書房刊)の脚本を担当。

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