熱論!Mリーグ【Mon】
「麻雀攻めダルマ
佐々木寿人はこのまま
終わってしまうのか」
文・花崎圭司【月曜担当ライター】2018年10月8日
「ヒサトがなにか悪いことしたのかよ」Mリーグを観戦しながら思わずつぶやいた。
Mリーグ第2週月曜日。
西家・佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家・小林剛(U-NEXTパイレーツ)の4人で戦い、審判は張敏賢が務める。
第1週目は
百戦錬磨のプロも緊張しているのか牌をこぼす(手牌や山牌を見せてしまう)ことが結構あった。
審判が判定するのはもちろんそれだけではない。プレイヤーが麻雀に集中するために審判が置かれ、
今回からその名前を出した。その責任を所在を明確にしたことは大きいことだ。
さて、Mリーグだが、まだ序盤とはいえトップのABEMASをこれ以上走らせるわけにはいかないし、
6位、7位の最下位争いをしている麻雀格闘倶楽部と雷電はもうマイナスはしたくない。こういう
心理が、プレイヤーの性格にもよるだろうが、多少なりとも働くであろうし、つまりもうすでに
駆け引きは始まっている。Mリーグは「赤アリ」麻雀だ。役牌だけかと思ったら赤ドラを2枚持っていて、
ただのジャブではなく重いジャブだったりする。手役より手数、パワーよりスピードの麻雀の方が有利なことが多い。
そのあたりはプレイヤーは重々承知だと思う。中でもこの赤アリ麻雀のルールに一番適性があると思うのが佐々木寿人プロだ。
なぜならプロになる前からこのルールで戦い、勝ち続けていたからだ。プロになると赤ドラがないのが普通で、
裏ドラもないルールで戦ったりもする。それに対応するのがプロだが、
やはり赤ドラルールの「ホームグラウンド」で戦えるのは、ヒサトにとって大きなアドバンテージになるはずだった。
だが実際は3戦戦って-87.5ptで選手全体の21位。最下位だ。チームのマイナスの半分以上を自分で作ってしまっている。
Mリーガーとして、KONAMI麻雀格闘倶楽部ドラフト1巡目として、
なにより麻雀プレイヤーとして受け入れがたい場所だ。期するものは大きかっただろう。
東1局。開局早々戦況は大きく動く。小林、白鳥が鳴きをいれたかと思ったら、
親の瀬戸熊が5巡目、早々にリーチを入れる。
瀬戸熊の捨牌はと字牌だけだ。そして8巡目のヒサトの手がこれ。
ヒサトはここでを切り、瀬戸熊に放銃。裏ドラも乗りいきなり18000点の失点となった。
RTDリーグ2017では放銃率は小林剛より低い6.75%なのだが、ここであまりにも大きい失点をしてしまう。
――放銃だけでなく裏ドラまでものるのか。そこで私は冒頭の言葉を発した。さらに分岐点は続く。
東2局4本場 ドラ2 親は白鳥。
ヒサトは箱下の-5700点。トップの白鳥翔とは5万点の差がある。小林が早々に鳴きを入れる。2回、入れる。
そして中盤から終盤にさしかかろうとした時、ヒサトにテンパイが入る。ヒサトの手牌は
一手変わりの四暗刻だ。役満はスペシャルな存在だ。リーチしないのがマジョリティだろう。ヒサトもリーチしない。
そして瀬戸熊からが出てロン。3200の4本場。4400点のアガリとなった。
でも、と思う。いつものヒサトだったらリーチをかけていたのではないか、と。
さらりと一発でをツモり、裏ドラをめくるとだったとかやるんじゃないかと。
四暗刻を狙う方が目に見えた情報で確度が高く、私が言っていることの方がよっぽど夢物語なのは分かっている。
でも、ヒサトなら。そう勝手に「ヒサト像」を作ってしまう。
一方、このルールが苦手なのではという印象を持つのが瀬戸熊直樹プロだ。手役派で固い守備。
そして敵が隙を見せたり、ゴールへの道筋が見えたら間髪入れず突き進む。この戦いでは瀬戸熊は「試合運びのうまさ」を
いかんなく見せる。序盤で18000点のアドバンテージ。そこからは横綱相撲だった。白鳥が6000オールをツモってまくられても、
慌てずポンテンで1000点をとる柔軟さを見せる。
東4局1本場。
小林は鳴きを入れる。瀬戸熊はホンイツを目指し、メンゼンでいけそうな形だったが鳴きを入れ手牌のスピードを上げる。
小林はを切り、瀬戸熊がポンでテンパイ。小林はポンならOK、ロンはNGということでまず
危険牌のを切った。その後、小林は鳴けばテンパイできるが場に出たが鳴かない。
鳴くともう一枚の危険牌のが出てしまうのとを安全牌として持っておくためだろう。
そして瀬戸熊はツモってきたを加槓し、嶺上開花。剛腕で満貫をアガる。