スピード感と
スリルが止まらない!
佐々木寿人が創り出す
リーチとアガリが
飛び交う戦場
文・山﨑和也【月曜担当ライター】2020年10月26日
10月26日は「役満の日」だそうだ。過去2年連続で役満が出現しているようで、何ともMリーグにとってメモリアルな日である。一昨年は佐々木寿人が国士無双を、昨年は瀬戸熊直樹が四暗刻をアガっている。今年も役満が出るとなると、いよいよ国会を動かしかねないが、果たして誰が達成するだろうか。筆者はお祭りにいくような気分で本日ワクワクしていた。
1戦目の顔触れはこちら。冒頭のふたりに加え、過去に大三元をアガったことのある滝沢が登場。役満の日に縁のある3人だ。まだアガったことのない石橋が仲間入りを果たせるかに注目したい。それにしても男前の4人が揃った。
1回戦
南家 石橋伸洋(U-NEXTパイレーツ)
北家 佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
東2局から。
5巡目で滝沢がテンパイ。ここはを切ってダマにした。を切ればカンにも取れたが、直前で1枚出てしまったこともあり、ノベタンにするのがよさそうだ。
対抗馬は寿人。心なしか四暗刻を意識してしまう手だ。打のあと、直後に瀬戸熊から出たをポン。
ドラのを手放した。対々和の5200点でよしという判断だろう。
すかさずもポン。
素早い仕掛けが功を奏し、1300―2600のアガりとなった。もし役満を狙おうとしてゆっくり待っていたら、滝沢がアガっていた可能性が高かっただろう。開幕で満貫をアガった滝沢の背中を追う。
東3局1本場。
寿人がカン待ちとなって即座にリーチ(打)。いやはや決断がいい。
次巡にをツモってしまい(もし1巡待っていれば)と思いたくなるが、「そういうことじゃないんですよ」と解説の多井隆晴プロ。「焼肉が好きな人に『お寿司を食べたらいいじゃない』と言うようなもの」とユーモラスに表現した。ほかには「宗教上の理由」といった表現もよく聞く。
寿人は先制が大きいと見てリーチをかけたのだろう。東2局と同じく、寿人の積極的な姿勢の持ち味が出ている。積極的といえば、この日この男もそうであった。
瀬戸熊だ。
寿人のリーチに対し、、とまったく通っていない牌を押していく。そもそも安全牌がないという事情もあるが、特にこのはなかなか打てる牌ではない。筆者ならばワンチャンス&2巡しのげそうなを切ってしまいそうだが、それでは七対子イーシャンテンが崩れてしまう。
そしてこのテンパイにもたどり着いていなかっただろう。思いきってを勝負し、寿人の当たり牌であるを止めての七対子テンパイに取った。
この追っかけリーチには「完璧じゃん!」(多井プロ)「瀬戸熊天才か!」(実況の小林未沙さん)と実況席も興奮した様子だった。が当たる(切れない)と見てリーチをかけたのもあるだろう。そのは山にあと2枚残っている。
寿人VS瀬戸熊の勝負になると思いきや、トップ目の滝沢も参戦。とドラのシャンポン待ちだがこちらはもう山になかった。
結果は流局に。役満経験者の3人がバチバチとぶつかり合っている。石橋はなかなか手が入らず、我慢に徹している様相だ。
東3局2本場。
滝沢がをポン。遠い仕掛けで「(羽田から)ジェノバまで遠い」と多井プロが驚くほど、滝沢史上の中でもかなりのものだったようだ。親とはいえ、供託が3本あるとはいえ、イタリア人もびっくりの仕掛けだ。
対抗するかのように、寿人も上図からをポン。とドラの対子が頼もしい。
続いてもポンして打とし、イーシャンテン。
この局は寿人VS滝沢のどちらが遠い仕掛けを成就させるかという対決になった。
滝沢が石橋から出た最後のをチー。ここでかを切りそうだが、どちらを選ぶか。
滝沢の選択は。