幸運を味方につけながら
河野高志のメリハリ
2023年6月22日G卓 文・東川亮
Mトーナメント、予選G卓にはMリーグ2022-23の最高スコアランキング1位と2位(あとワーストスコア1位)がそろう、いかにも高打点が飛び交いそうな卓組みとなった。そこにエントリーされた招待選手は、RMUの雄、河野高志。
盟友・多井隆晴をして「限られた回数で結果を出すことを求められるときに力を発揮するタイプ」。麻雀界で長く活躍してきた男が、Mリーガー3名を相手にどんな麻雀を見せるのか。
■ひ渋強
第1試合は、渋川の独壇場だった。
試合後に「Mリーグのいつよりも手が入った」と振り返ったように、形・速度・打点の三拍子を兼ね備えた手が何度も入り、その多くをしっかりとアガリに結びつけていた。また、リーチに裏ドラが絡むことも多かった。
ただ、道中の手組みは漫然と進めていたわけではない。
東1局にはこの形からペンチャンターツを落とし、好形テンパイを目指す進行。
意志を込めて手を作って3メンチャン待ちリーチをかけてツモアガリ。
リーチツモピンフ、裏ドラ1枚の1300-2600はなかなかの好スタートだ。
次局は4トイツの形からチートイツとメンツ手の天秤をかける切りなどではなく、のトイツ落としでメンツ手進行。
黒沢の先制リーチを受けるもマンズを伸ばしてしっかりと押し返せる手を作ってリーチ、ここでもツモって裏ドラを乗せ、4000オールで一気に試合の主導権を握った。
終わってみれば、渋川はアガリが5回、放銃は2600が1回だけと、非常に安定したスタッツで初戦を終えた。
これだけのリードを持っていれば、第2試合は特大ラスを引かない限りは突破可能。渋川は大きな事故に遭わないよう丁寧に打ち回して次戦を3位でまとめ、トータル2位で予選G卓を突破した。
ひえ〜
渋川さん
強すぎるよ〜
■河野に味方した幸運と、幸運を生かすための布石
※第2試合はABEMAプレミアム限定配信となっています。対局の詳細はぜひ、ABEMAプレミアムでご覧ください。
第2試合は渋川が安全第一で局を進め、一方で茅森にはほとんど勝負できる手が入らず、初戦2位の河野と3位の黒沢による一騎打ちの構図となった。
東1局(ドラ)では親番の黒沢が役なしのカン待ちリーチ、河野がリーチ赤1のカン待ちのリーチでぶつかると、親番茅森の3軒目リーチもかかるものの黒沢がツモって1000オール。
東1局1本場は河野がリーチタンヤオの待ちリーチで先制すると
密かにダマテンを入れていた黒沢が追っかけリーチを敢行。
ここは黒沢から河野へ3200は3500の放銃となる。
その後、河野には幸運が味方した。
東2局1本場、河野は茅森の先制リーチに対して役なしリャンメン待ちリーチで追っかけると、一発でツモって裏ドラが1枚乗り、2000-4000の高打点を決める。
南1局でも役なし赤1のリーチをツモって裏ドラを乗せ、再び2000-4000のアガリ。
さらに南2局(ドラ)では、この試合2度目のリーチ一発ツモ裏1をアガり、他3者に対して一気にリードを広げた。
なお、この局では親番の渋川が密かにダマテンで超大物手のテンパイを入れていた。
河野のリーチ時点で待ちは山に残り3枚、一方で渋川の待ちはなんと山に7枚残っており、渋川がツモればハネ満か倍満、河野から渋川へのハネ満打ち込みも十分あり得た。
一方で、この試合では黒沢も何度かアガリを決めたものの、ピンフのつかない愚形リーチが多く、裏ドラも1枚も絡まなかった。ある意味で河野とは対照的な結果となり、その差が両者の明暗を大きく分けたと言ってもいいかもしれない。
ただ、2戦目の河野がツイていたのは事実にせよ、そこまでの打ち回しは非常に丁寧で慎重だった。
初戦の東2局1本場では、ドラ赤あってアガりたい手ではあるものの、手牌進行が思うようにならないと見るや、リャンメンターツを壊してすぐに守備に回る。