「はい」の返事はきっと彼のもの 最後の最後まで勝負を楽しむサクラナイツの小さな天才【Mリーグ2021-22ファイナル観戦記4／26】担当記者：ZERO/沖中祐也

例えばを切ると、近藤のリーチに危険なをツモってきた時、押すかオリるかの選択に迫られる。を切っておくと、比較マシなを切ることができる。（が３枚見えている）

実際に近藤の待ちはだった。

だけではなくやも同様。

このようにシャンポン待ちに受けておくことで、後の選択が増えるのだ。

をツモってきた多井はを切り、安全にテンパイを維持することができた。
勝ちたい… 勝ちたいからこそここは我慢だ。
自分の手牌が1500と安いからこそ、流局を見据えたクレバーな選択だと言える。

こうしてつないだ親で

リーチ赤１の3900は4200と連荘。
さらに

赤赤のでリーチと畳み掛ける！
この時、近藤の手牌には

今にもが飛び出していきそうだった。
ABEMASの逆転優勝への道が見えた… その瞬間に立ちはだかったのが

サクラナイツの堀だ。
堀は多井のリーチがかかる直前に

なんとここからを切っていた。
全員に危険なを先に逃しておく選択だ。
とはいえ、のポンテンにとるため残しておきたくなるのが人情というものじゃないだろうか。

こうして多井のリーチを受けた一発目

掴んだ無筋のを手に置き、と入れ替えていた安全なを切り、進退を保留することができたのだ。

この1枚のおかげで…

テンパイ！ １枚勝負でリーチ！
もし、あそこでを抱えていたら一発目に掴んだは相当押しづらかったはずだ。

押し返したいからこそスリムに構える、の典型的な例だ。
ファイナル12戦中7戦目の登板となる堀は

静かにを手元に置いた。
リーチ・ツモ・裏１の10002000だ。

多井が唇を噛む。
ABEMASの青写真を打ち砕き、監督の抜擢に応える堀の10002000。

東４局、今度は堀のターンだ。
親番を迎えた堀は

ここからを切った。前巡に切っていると合わせて２枚ならべた格好になる。
あえてトイツ落としを見せることで、相手に少しでもスリムに構えさせたりエラーを誘う意図だ。

これに応じるように近藤が

タンヤオのポンテンを入れる。
そして襲いかかる

堀のリーチ。
首位サクラナイツとフェニックスは27.5pt差であり、ほぼ着順勝負だ。
（１着順差の場合のみ、7500点の条件がつく）
ここは勝負どころと見て全部押すか？ と思いきや

一発で引いた無筋を手に止め、あっさりと現物を抜いた。
近藤は、ずっと耐えていた。