浜松町を「緑」に染めた鈴木たろうと、高宮まりのたった一打の差―【Mリーグ2024-25観戦記 12/3 第1試合】担当記者 #高倉拓馬

浜松町を「緑」に染めた鈴木たろうと、

高宮まりのたった一打の差―

文・高倉拓馬【火曜担当ライター】2024年12月3日

麻雀というゲームは、時に残酷さを見せつけてくる。

たった一巡その牌を残しただけで放銃、一牌の後先で結果が大きく変わる…。

今日の第一試合は、その一打に笑うものあり、悔しさに泣く者あり、そんなゲームだった。

 

第1試合

東家：小林剛(U-NEXT Pirates)

南家：鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)

西家：高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)

北家：本田朋広(TEAM雷電)

 

東3局1本場

少しビハインドの立場となっている小林。

この手牌からを暗カンしていった。

ターツが不足している状況。ツモを一回得ることでのターツ完成を狙う。

カンドラが1枚増えるとドラ2、暗カンで60符あるので満貫になる。仕掛けの手順も踏めるように、出来るだけ早くカンをしておきたい。

その直後。たろうがテンパイして即リーチ。

ドラが1枚あり、愚形のなかではいい待ちのカン。裏ドラが2つあるので期待が持てる。

カンを積極的に仕掛けていった小林。

仕掛ければ両面2つの1シャンテンで現状3900点。

これから押す牌が危険なのだが、そもそも手牌に安全牌がない。そのためここから気合でベタオリするよりも、押した方が良いと判断した。

 

リーチのたろう、仕掛けている小林の争い…と思われたが、そこに粘っていた高宮が追いつく。

は両方の現物、は両方の無筋…皆様はどちらを選びますか？

盤面を整理して考えていこう。

この場面では2つほど考えたい事柄がある。

1つ目は「危険牌のを通して、待ちが増えることにどれだけメリットがあるか？」

河を見るとが高宮視点で4枚見え。全員から見ても3枚見えで、周りからも手詰まりして出る可能性はある。

さらにたろうの初打にが落ちており、たろうはを持っていない可能性が普段より高い。の放銃率を取ってでも、アガリ率を高める価値がありそう。

 

2つ目は「小林はそもそもテンパイしているのか？」

カンをチーして押していった小林なのだが、9打目～10打目、の対子落としをしていった場面にフォーカスしていこう。

ここで危険牌のと安全牌ので対子が振り替わり、

結果的にが埋まってテンパイだったのだが、

この状況では「とツモってきた牌が、かなりの確率で入れ替わる」ことにお気づきいただけるだろうか。

より危険な無筋を引いてくれば一旦保留でを打つはずだし、もっと安全な牌ならそれはそれでと入れ替える可能性が高いだろう。

そのためこの瞬間では小林のテンパイ率がかなり低いことがわかる。両面2つのイーシャンテンなら、テンパイ率はおおざっぱに4/34。もちろん実際にはこれより高いが、テンパイ率が30%もないことはお分かりいただけると思う。

したがってこのタイミングでは、放銃率はたろう1人をメインに考えるのが良さそうで、それを思えばの負荷を背負ってもよさそうだと感じる。

高宮は逡巡の末、現物のを打ってのリーチとしたが、

先に山にいたのはで、

小林に押し切られて1000-2000をあがられる。

高宮にとってはこの1牌の差が非常に悔しい結果を生んでしまった恰好。

 

南2局

親でを引いてきたのはたろう。