なんとすでにのイーシャンテンなのである。
さすがに仲林の親は風前の灯だと、誰もが思っていた。
内川がツモ切りを繰り返し、5巡目──。
ドラのもツモ切り。
これをやはり仲林は見逃さなかった。
ラス目の挙動としては、内川はかなり危なそうだ。猶予はほとんどないかもしれない。
仲林は、をツモるがこれをツモ切り。
さらに6pをツモるがやはりツモ切り。
1メンツもなく、死ぬほど目一杯に攻めたい親番で。
内川に対する危険スジを頑なに切り飛ばしていることがわかるだろう。
次巡もツモでやはり打。
内川から、いつどちらかが埋まってリーチされるかわからない。
仲林はぎりぎりの逃げをこの巡目から遂行しているのである。
そして内川がようやく11巡目にリーチ。
このとき仲林の手はまだこんな形である。
しかし、内川への当たり牌が余るようには構えていない。
この局は最終手番まで仲林は親番をつなぐテンパイを求め続け──、
このイーシャンテンで、希望は潰えた。
終わってみればただのノーテンだ。リーチにベタオリしての親落ちと、結果としては変わらない。
そう──、思うだろうか?
そしてこの後内川にまくられ、仲林ラス目のオーラス1本場。
仲林は11600点持ち。
東家内川とは9600点差、北家勝又とは5500点差であった。
5巡目に内川がリーチ。
これにどうにか粘りながら、仲林が追いついたのが12巡目。
ただし、メンピンである。
内川直撃でも裏なしはラス確だ。
裏1でも勝又をかわせないので、3着止まり。
ツモって裏ドラが乗れば2着になるが、
が3枚切れでアガリ自体厳しい状況だ。
通ってないをまず通し、親リーチをくぐり抜けてツモアガり、
さらに裏ドラが乗る可能性。
それがどれほどあるだろう。
ラス目でありながら、その薄い博打に身投げすることはなく、仲林はオリた。
ラス確やさらに失点する未来より、次局にチャンスをつなげることを、仲林は選んだ。
余談だがもしここで追いかけリーチをしていると、
仲林はすぐにを掴んで内川に放銃していたことになる。
この局は流れて、次局仲林はもっと着順上昇の狙える手牌を望んだものの──、
トップ目瀬戸熊に早いツモアガリがあって、仲林のラスは動かなかった。
たまたま親の当たり牌を掴んでいたが、ツモ裏に賭けて勝負して欲しかったと──、そう思うだろうか?
ラス目なのに消極的でつまらない選手だと──、そう思うだろうか?