燻(くすぶ)る新星、仲林圭の真摯な麻雀が パイレーツの航路を照らすときは来るか【須田良規のMリーグ2022-23セレクト・10月13日】

なんとすでに【6ピン】【9ピン】【1ソウ】【4ソウ】【7ソウ】のイーシャンテンなのである。
さすがに仲林の親は風前の灯だと、誰もが思っていた。

内川がツモ切りを繰り返し、5巡目──。

ドラの【2ピン】もツモ切り。
これをやはり仲林は見逃さなかった。

ラス目の挙動としては、内川はかなり危なそうだ。猶予はほとんどないかもしれない。

仲林は、【4ソウ】をツモるがこれをツモ切り。

さらに6pをツモるがやはりツモ切り。

1メンツもなく、死ぬほど目一杯に攻めたい親番で。

内川に対する危険スジ【6ピン】【9ピン】【1ソウ】【4ソウ】【7ソウ】を頑なに切り飛ばしていることがわかるだろう。

次巡もツモ【9ソウ】でやはり打【7ソウ】

内川から、いつどちらかが埋まってリーチされるかわからない。
仲林はぎりぎりの逃げをこの巡目から遂行しているのである。

そして内川がようやく11巡目にリーチ。

このとき仲林の手はまだこんな形である。

しかし、内川への当たり牌が余るようには構えていない。

この局は最終手番まで仲林は親番をつなぐテンパイを求め続け──、

このイーシャンテンで、希望は潰えた。

終わってみればただのノーテンだ。リーチにベタオリしての親落ちと、結果としては変わらない。
そう──、思うだろうか?

そしてこの後内川にまくられ、仲林ラス目のオーラス1本場
仲林は11600点持ち。

東家内川とは9600点差、北家勝又とは5500点差であった。

5巡目に内川がリーチ。

これにどうにか粘りながら、仲林が追いついたのが12巡目。

ただし、メンピンである。
内川直撃でも裏なしはラス確だ。
裏1でも勝又をかわせないので、3着止まり。

ツモって裏ドラが乗れば2着になるが、
【9ピン】が3枚切れでアガリ自体厳しい状況だ。

通ってない【2ピン】をまず通し、親リーチをくぐり抜けてツモアガり、
さらに裏ドラが乗る可能性。
それがどれほどあるだろう。

ラス目でありながら、その薄い博打に身投げすることはなく、仲林はオリた。

ラス確やさらに失点する未来より、次局にチャンスをつなげることを、仲林は選んだ。

余談だがもしここで追いかけリーチをしていると、

仲林はすぐに【7ピン】を掴んで内川に放銃していたことになる。

この局は流れて、次局仲林はもっと着順上昇の狙える手牌を望んだものの──、
トップ目瀬戸熊に早いツモアガリがあって、仲林のラスは動かなかった。

たまたま親の当たり牌を掴んでいたが、ツモ裏に賭けて勝負して欲しかったと──、そう思うだろうか?
ラス目なのに消極的でつまらない選手だと──、そう思うだろうか?

 

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