次に
・を切ってにするメリット。
こちらは単騎待ちのデメリットがメリットになるので、瞬間の枚数も4枚。
単騎待ちよりは待ちは増えづらいが、を引けばになり待ち枚数も増える。
加えて、たろうの河にが切れていては筋の牌。
トップ目の優は高宮にアガられるよりたろうにあがって欲しいと考えるので、打ちづらい牌ではあるが、黒沢はたろうにも高宮にも打ちたくないので仮にこの後が通ったりしたら、2人の共通の筋であるが打たれることも想定に入る。
・デメリット
単騎待ちにした時のメリットで話したドラを引いたらツモ切るしかテンパイを維持できない。
自身がアンコの為、が待ちになるターツがあれば、埋まってない可能性がある。
どちらも長所短所がある。
高宮が選んだのは果たして?!
!!
この時もう一つ大事な切りが優位になる情報があったのを筆者は見逃さなかった。
たろうの河に注目してもらいたい。
3巡目にが切れているのにを手出しでリーチ。
を切っているのにを持っていたということは、手牌の中にがなくてもが使える形となっている。こういう時は2つ離れてる牌のを持っていることが多い。
やなどなど。
そう考えるとを持っている可能性が高いのならば、情報のない無筋よりも単独リャンメン、とかは出てきづらいのでは?
と読むことができる。
ちなみにもちろん当たるパターンもある。
からアンコを一枚切たリャンメン待ち。
からの亜リャンメン待ち。
から切ってノベタン待ち。
から切ってカン待ちなど、探せばまだまだある。
が関連牌じゃない時だってある。
全体の捨て牌も見るとたろうは4巡目にを切っていて、も4枚みえてるのでカンチャンやペンチャン待ちでは当たらない。
さらに言えばこのを打って通してしまえば、高宮がこの後オリを選択して2着キープの道を選んだ時に、手牌の安全度も増す(現物として使える牌が増える)という攻守どちらにも優位な選択なのである。
それが高宮が、捨て牌から読み取り探し出した答えなのだ。
そして
を引き待望のリャンメン待ちに。
この時たろうの待ちのは山に4枚。
高宮のは山に2枚だったが・・・
ツモ山に手を伸ばしてツモったその牌は。
待ちが変化せずとも先にいてくれた。
牌の積まれてる順番はランダムである。
先にいたのはたまたまだ。
でも、自分が信じた道でアガリを取る。これこそが高宮の強さである。
三色の変化もあり6000オールの大きなアガリとなった。
この後はたろうが2000.4000を決め、高宮は2着でフィニッシュとなったのだが、今シーズンの高宮の変化を皆様に是非伝えたいと思っていた。
字牌の切り順だったり、局面に応じた仕掛けのバリエーション、押し引きのバランス。
麻雀は新しいことを取り入れたり、変化を求めると完全に自分のものにするまでは時間がかかる。
その間は迷いの森に入ってしまう時も少なくない。
ただ、今シーズンの高宮はすでに自分にあったスタイルが確立されてきて、自信を持って打っているように思える。
今期のMリーグは、進化を止めないレディベルセルクに注目していきたい。
最高位戦日本プロ麻雀協会。
A2リーグ所属。
選手、解説、実況、司会など唯一無二のマルチプレーヤー。
『麻雀グラップラー』の異名を持つ。
Twitter:@corn708