たろうは高宮とは8100点差、黒沢とは2800点差。近いのは3着だが、ドラが7枚入っているMリーグでは満貫クラスを作ることはさほど難しくない。
だから打点を作ってリーチや高い仕掛けが来るかもなぁと。
こんなところだろうか。
そして今回の自分の手。
ドラアガリに遠かったり打点がそんなに見込めないならば、2着死守を考えてもいい場面。
でも、この手をマンガンやハネマンクラスに仕上げたら今度は一気にトップ戦線に名乗りをあげることができる。
ならば、重ねたいよね?
もちろん高宮もは重ねたい。
彼女は、その先を見据えた未来の為の選択をしたのだ。
アガれば終了の優に役牌を重ねられてしまうかもしれない。
そして自身がドラを7枚中4枚保持していることから、打点が欲しい黒沢とたろうは、ドラが複数枚なければ、ホンイツやトイトイ、チートイツなど字牌を使った高い手を狙う可能性がある。
この手はアガりたい、でも、自身の2着目が捲られてしまう可能性もある。
なら、最も重なってる可能性が低く、形が決まってなくて鳴きづらい一巡目に切ろう。
そんな理由から、今の自分の状況に一番マッチする一打をしたのだ。
もちろん自分が重なるかもしれないし、鳴く手じゃないかもしれない。
しかし、リスクを取らなければ勝ち切ることは難しいことを、この半年間で高宮は考えてきたのだ。
その素晴らしい一打に、筆者は強く進化したベルセルクを見た。
実際この後はを切り、自分にしか役にならないは重ねたいので温存、自分に点数が近い黒沢の安全牌であるは残し、アガリのルートは消さず、しかしチームに2着以上は持ち帰りたいという強い意志もみえている。
4着目のたろうからリーチが入る。
待ちは。
ドラのをツモればまずは3着。
一発か裏ドラが乗れば2着。
をツモって裏が乗れば3着or複数枚乗れば2着。
もちろんそれはたろう目線であり、三者には分からない。
リーチを受けた時の高宮の手がこちら
たろうに6400点以上を放銃してしまえば2着から4着に。
順位点だけでも40ポイント失うことになってしまう。
だからこそ、安全牌候補の牌は取っておいてある。一発では放銃しないよう2枚切れの(単騎にしか当たらない)を温存していた。
1人麻雀なら字牌なんて手元にないだろう。
こんなにいい手なら、安牌なんてなくてもいいと思う人もいるだろう。
でも、『守るべきもの』がある。
今の状況を完璧に理解してるからこその牌残し。
素晴らしいバランス。
と引き入れてイーシャンテンになっていた高宮。
そんなとき、上家の優がを切る。
鳴かずにオリて流局すれば、2着で終われるんじゃない?
ならば現物のも2枚あるし、オリもあるんじゃない?
もちろんオリもある。どう考える?
黒沢とは5300点差、たろうとは8100点差。
6400点以上の放銃は4着になってしまうのだが、ポジティブに考えれば3900点以下の放銃ならば、自身は2着のまま。
5200点放銃ならば3着には落ちるが、4着にはならない。
なおかつたろうは黒沢とは2800点差なので、必ずしも放銃したらマンガンクラスが出てくるとは限らない。
その上で、自身がアガれたら着順ダウンの可能性がかなり低くなる。
ならば押す価値が出てくるのがわかるはず。
以上のことからチー、さぁここからは待ち取りだ。
を切ればカン
どちらかを切ればどちらかの単騎待ち。
ここでは2つの選択肢のメリットデメリットについて考えてみよう。
・どちらかを切って単騎にした時のメリット
待ちを変えられる。
がアンコの為、は切ってしまっているがを引いたら待ちになる
ピンズがという方なので、〜の牌を引いたら2種類の待ちになる。
また、放銃時打点が高くなってしまうドラを引いた時もツモ切らずにテンパイを維持できるのもメリットになる
・デメリット
もも通っていない為、ロンと言われる可能性があり、待ちを変えることを意識してるのだからどちらも切る想定になってしまうこと。
瞬間の枚数も単騎は3枚、カンチャンは4枚と劣っている。