にらみ合いの東場と
斬り合いの南場
勝負どころを制した園田賢
文・東川亮【木曜担当ライター】2022年 11月 17日
第2試合
大和証券Mリーグ2022-23、11月17日の第1試合は、鈴木たろうが勝利。
序盤から苦戦が続いていた赤坂ドリブンズは、いよいよ最下位脱出が目前に迫ってきた。
2戦目に登場した園田は、自身の背ネームが見えるくらいまで、深々と一礼をして試合会場に入った。
第2試合
東家:黒沢咲(TEAM雷電)
南家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
北家:園田賢(赤坂ドリブンズ)
園田が満貫をツモって迎えた東2局。
親の寿人がを鳴いて1シャンテン。打点はないが、まずは連荘して親を続けようというところか。
を切った多井は、中盤でドラを引いて少し考えると
を切った。メンツを破壊する1打である。
いくら自身の手が赤赤とはいえ、役牌を仕掛けて中張牌をツモ切り続けている寿人が既にテンパイと考えれば、いずれ出ていく公算の高いドラはかなり危険度の高い牌。切るつもりがないならこの手は死んだも同然。ならばいさぎよく守備に回ろうという一打だ。中途半端に字牌を切らないのも、後の守備を考えてのこと。
この段階で、寿人はまだ1シャンテンだったが、受けが残っていた。アガれる確率の低い手で、多井は無理な攻めはしない。このあたりの守備意識はMリーガーのなかでも随一である。
ただ、この局でアガったのは黒沢。役なしリーチが一発ツモ裏で2000-4000は黒沢らしいというかなんというか。
次局、黒沢は守備でも見せる。東3局は親の多井がカンチーから動き、ダブの後付けでテンパイ。
黒沢の手には配牌から東が1枚、ポツンと浮いていた。途中から一番右に寄せられており、勝負手になれば打ち出そうという構えに見える。
もちろん、の危険度は感じていたはずだ。多井の仕掛けには赤が1枚あり、で打てば5800から。ただ、2枚になったことで多井にトイツになっている可能性は減っている。
それでも打たない。明らかに多井に先手を取られている状況で、高い放銃となる可能性のある牌は切らないのだ。
黒沢が切らなければ、多井のアガリもない。追っ手もこず、この局は流局。
つづく東3局1本場は前局に続き、多井が先制リーチをかける。1巡前のカン待ちテンパイを取らず、を使い切ってタンヤオもつける、より高いテンパイを組んだ。
園田は役なしカン待ちでテンパイしていたところに引き、待ちがリャンメンに変わるが、そのときに出ていくは多井への放銃となる。
ここはを抜いて守備に回った。現状リーチピンフのみ、が場に多く見えていて待ちに変わったとしても微妙な待ちとなる。この局も多井の1人テンパイで流局となるが、各者の甘えない守備が印象的な前半戦だった。
だが、後半戦は一転して、各者の攻撃的選択が光る展開となった。南1局、まずは黒沢がのシャンポン待ちリーチ。
そこに対し、1シャンテンだがドラのが浮いていた寿人は、いったん現物のを抜いて守備に回る。
ワンチャンスのなどを打ちながらまわっているなかで、を引いてテンパイ復活。ここで寿人は、一度は切りきれなかったを切ってリーチをかけた。1シャンテンで打つ価値はないが、テンパイなら話は別、ということだろう。
山に残っていたのは1枚だけだったが、1枚あればアガれるのだ。一発でツモって2000-4000。これを思い切ってリーチといけるのが、寿人の強さ・すごみである。
南2局は、園田が役なしテンパイをツモって500-1000。
局面は、この試合を決定付けた南3局に移る。リードしている園田は、序盤から守備力を担保しつつホンイツに向かう進行。道中でできたカン受けのターツなんていらない。